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イタリア野球情報

ブログ「世界の野球」のイタリア野球の記事だけをまとめた内容が中心。最新情報は一番下のtwitterにて書いています

イタリア野球リーグ2016総括+イタリア代表候補名鑑


書くたびに、次はもう書かねーな、と心のなかで思っていたりするのですが、結局イタリアリーグ総括も13年、15年に続いて3回目となりました。今度こそ次があるかどうかは分からない。

個人的にイタリアをフォーカスするようになったのは3年前。
ヨーロッパと言えばオランダは既に国際大会で存在感を示すようになってきたころで、さらにオランダ野球に関しては信頼できる情報の伝え手も登場してきたことにより、徐々にイタリアの野球を掘り下げるようになっていきました。

もともと、誰も掘り下げてないところを自力で掘り下げることを好んできた結果、このような趣味に辿りついているので、徐々にオランダが国際舞台で活躍するようになってきた流れに逆行するようなことをしたのは、必然だったような気がしますね。


ここのブログで書くことは、ある程度需要があることだと見越して書く記事と、自分が書きたいもの・読みたいものを書いただけという記事の両方がありまして、だいたい前者か、前者と後者を折衷したようなモチベーションで書いてたりするのですが、このイタリアリーグ総括に関しては完全に後者に針が振り切ってます笑

SNSとかだとどうしても反応が得られやすい方向に走ってしまう事もあるのですが、ブログでは職人気質(?)を貫いた内容のものも書き続けたいと思います。もちろん、僕以外のどこかの誰かにとっても必要なものであることにも期待しているのですが。

○イタリアリーグのレベルとは

昨年の2015年は「イタリアリーグ」の情報収集に関してはこれ以上ない一年だったように思います。
3月の侍ジャパン対欧州選抜に、8月のU18ワールドカップ、11月のプレミア12、12月のアジアWL。

テレビやネット中継などで、これまでにないほどイタリアリーグでプレーする選手の情報収集の機会に恵まれました。
プレミア12に関しては全試合録画、U18に関しては現地まで観戦に行きました。

イタリア代表に選ばれる選手だけでなく、平均的なイタリア人選手を見る機会が多かったのも個人的に大きかったんですよね。

イタリアの野球リーグのレベルがどのようなものなのか、というのは一言で言うと説明は難しいと思います。
昨年の総括にも書きましたけど、マイナーリーグのように選手間のレベルが均質化していない。
元メジャーリーガーから、130キロに届かないイタリア人投手まで混在するのがイタリアリーグ、という感じです。

ピッチャーに関してはAA、AAAあたりの経験のある外国人投手を2人先発でどこも揃えています。そこに外国人枠の対象には入らないマイナー経験くらいは持っているイタリア系のアメリカ人やベネズエラ人が1人、2人いて、イタリア代表クラスのイタリア人投手だと130キロ中盤から後半くらい。
そしてイタリア代表未満のイタリア人投手だと120後半-130中盤くらい。球速で表現するならば、こういったピッチャーたちで構成されるのがイタリアリーグのピッチングスタッフです。これである程度レベルのイメージはできるでしょうか。

守備面に関しては、どこもショートを中心に中南米出身の内野手が1、2人いるので彼らはしっかり守れます。
イタリア人選手でも無難に守れる選手もちょこちょこいるのですが、平均的なイタリア人選手の守りは基本的に怪しい。
トップカテゴリー以外でもしっかり守備が成り立っている日本の野球に見慣れている我々の感覚からすると、いわゆるお粗末な守備という印象を持たれると思います。まあ、マイナーリーグも最下層レベルだとこんな感じなんだろうとは思いますが・・。


リーグ全体のバランスで言うと、勝率が1割台、1割未満といったリーグのバランスを崩すような弱小チームが今年はノバーラ1チームしかなかったので、そういう意味では良かったように思います。数年前はそういったチームが3チームくらいあったので、打率なんかはかなり下位から稼ぎやすく、3割打者が続出し首位打者争いが4割を超えるラインで争われていました。打撃成績に限らず、下位から「稼ぎやすい」システムはかなり数字の信頼性を落としていた印象です。それを考えると、たとえば今年シーズンを通じて3割を打った選手なんかはかなり価値が高いように思いますね。日本のプロ野球に居た選手なら誰でも必ず3割は約束されているような、そんなリーグではないと思いますよ。

選手間のレベルの差があるのでマイナーリーグのどこ相当のレベルか、というのを例えるのは難しい。あえて言うならば平均して1Aのショートシーズン(low‐A)くらい、という風に考えています。1Aのレベルを正確に把握しているわけではないのですが、たとえば全体を平均してAAレベルに達していると言い切るのは、正直かなり苦しいと思います。なので、そういったところかなあ、と。


○外国人枠

イタリア野球のレベルを支えてきたのが海外出身選手。
現在は4枠あります。ベネズエラ人選手が圧倒的に多い印象で、先発投手とショートストップはどこのチームにもほぼ必ず中南米出身選手がいます。さらに、イタリア国籍を持っている海外出身選手はこの枠外になっていて、イタリア以外のEU国籍を持っている二重国籍選手も外国人枠にはカウントされない。なのでとにかく中南米出身選手の数が多い。なるべく二重国籍の選手はこのあとの戦力紹介でそれが分かるように書いてますが、スペインとかもどこに関わりがあるのかよく分からない人に市民権与えますし・・。もちろん、イタリア人選手の出場機会を守る仕組みも出来ており、3連戦のうち1試合はイタリア人投手しか使わないゲームにすることがルールとなっていたり、イタリア連盟傘下のチームで6年以上をプレーしている選手(=イタリア人扱い)がフィールド上に6人いなければならない、というルールもあったりします。

ちなみにですが、今年ブルワーズで先発ローテーションに入って6勝を挙げているジュニア・ゲラというベネズエラ人投手は、2年前までサンマリノのエースとして活躍していました。ここに来る外国人投手のレベルの高さを証明すると同時に、案外欧州に流れ着くのは片道切符でもないということを証明しています。

○イタリアリーグは「プロ野球」なのか?

少なくともヨーロッパの中では最もプロ野球に近いと思います。2010年に旧セリエAの中から財力のあるチームが集まって独立して作られたのが今のイタリアンベースボールリーグ。イタリアらしく緩かった側面もあったらしいチームの運営も多少はプロらしくはなっていったとは聞きます。毎年何かしら問題が起こって、リーグのフォーマットもコロコロ変わる印象はありますけど。ただ、設立当初の理想通りにはいってないようですが、やってくる外国人選手のレベルも上がり、それに従ってリーグ戦全体のレベルも上がっていきました。その象徴がヨーロッパにおけるナンバーワンクラブを決めるヨーロピアンカップでイタリア勢が7連覇を果たしたことでしょうか。イタリア人選手とオランダ人選手で比べるとオランダの方がレベルは高いのですが、海外出身選手の質と量ではやはりイタリアの方に分があります。もっとも、その連覇は2015年で途切れ、16年もオランダのアムステルダムが優勝しております。さすがに7連覇は出来過ぎでしたね。

イタリアリーグの選手で編成される国際大会でも、イタリアはヨーロッパ選手権などでオランダを上回った時期もありましたし、2010年のインターコンチネンタルカップでは二軍の若手選手で編成された日本や地元の台湾代表を下して3位になっています。
ただ、イタリアリーグの選手で主に編成されるイタリア代表も、特に投手はイタリア系選手に頼る部分が多く、そういった投手が不足していた昨年のプレミア12では、ライバルのオランダ戦も含めて大惨敗でした。オランダはマイナーリーグに輩出していた優秀な投手がオランダに帰ってきており、今年9月の欧州選手権もかなり苦しい戦いになるのではないかと想像しています。

なんだか話がそれてしまいましたが、結論を言うとプロ野球と言い切るのには難しいと思います。
助っ人外国人選手はプロとしてプロらしい年俸というか報酬をもらっているようですし、上位チームのイタリア代表常連選手もシーズン中は野球だけで生活していけるような給料をもらっているとは聞きます。
ただ、金曜日と土曜のダブルヘッダーの週末3試合。レギュラーシーズン36試合。多くの選手が本業を持っています。「プロ野球」と言い切るのには難しい。


○今回の総括の特徴

イントロダクションで相当長くなってしまいましたが、ここからチーム別のリーグ総括に入っていきたいと思います!今回はDER(守備効率)とそれを得点換算した数字も引用しています。
試合数が少ないと精度が落ちてくる数字だと思うのでどこまで信用してよいのかは分かりません。ただ、スタッツ中心で映像の情報も少ない中において、失策数以外で守備力をある程度測るための苦肉の策です。
本来は選手別の守備も奪刺殺・補殺率などを用いて考察もしたかったのですが、守備位置別の守備イニングや守備成績がイタリアリーグは載っていないので難しかったですね。DERで出たチーム守備の成績を元にして、それがどのポジションのどの選手に起因するか考察する、という形にしたいと思います。

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さらに寸評にプラスして、基本的なスタメンとピッチングスタッフも併記しております。名前書くだけだと訳わからないので、、代表歴やマイナーでプレーした階級くらいは付けてみました。昨年同様、今年の欧州選手権に選ばれる可能性のあるイタリア代表候補の名鑑もセットにしています。

 

 

 

 

 

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○フォルティチュード・ボローニャ レギュラーシーズン1位 27勝9敗


かつて元西武のGG佐藤が在籍。2013年には欧州代表としてアジアシリーズにも出場したイタリアとヨーロッパ野球を代表する強豪クラブ。昨年はレギュラーシーズンで圧倒的な成績を残しながらも、イタリアシリーズでリミニに敗退。今年は再びスクデット(リーグ優勝)を目指すシーズンとなった。
といっても、昨年のレギュラーシーズンの成績から分かるように戦力的には共に3強を形成するリミニ、サンマリノと比べても戦力的に一歩抜けており、チーム打率、チーム防御率ともにリーグ一位。
今季も勝率.750という圧倒的な成績でレギュラーシーズンを1位で終えたことも納得の戦いだった。

投手陣では、ベネズエラ人投手のラウール・リベロ最多勝の9勝を記録した新外国人のアメリカ人投手マシュー・ジエリンスキー、13WBC、プレミア12の両世界大会でも先発しているイタリア人投手のルカ・パネラッティで形成される先発3枚が布石。
この先発3人の安定がそのままチームの戦いにも安定をもたらせた。

シーズン最終盤には、オーストラリア代表の常連であり、今年は台湾プロ野球のラミゴ・モンキーズでも助っ人としてプレーしていたライアン・サールも加入している。

リリーフでは、イタリア系アメリカ人投手で昨年はセリエAでプレーしていたブレント・ブッファがチーム最多の14試合に登板し防御率1点台とチームを支えた。
元イタリア代表のベテランであるリカルド・デサンティス、プレミア12にも選出されていたアンドレア・ピッチコーニ、フィリッポ・クレパルディなど、新旧のイタリア代表がずらりと名を連ねる陣容は厚みがあり、リーグ最強の安定感を誇ったのにも納得である。


投手陣と同様にリーグナンバーワンの数字を残したボローニャ打線。
メジャー通算868試合出場、数年前までパイレーツなどでショートのレギュラー格としてプレーしていた新外国人のロニー・セデーニョは首位打者にはわずかに及ばなかったものの.368というハイアベレージを残し実績通りの活躍。単打だけでなくリーグ2位の4本塁打など長打率もリーグ1位で、後述する守備も含めて考えるとMVP級の働きだった。
イタリア人選手ではイタリア代表外野手であるパオリーノ・アンブロッシノの大爆発が印象深い。
昨年のプレミア12にも選出されているイタリア代表外野手はパワーとスピードを兼ね備えた5ツール型の外野手なのだが、3割を超えたシーズンも少なくポテンシャルを生かし切れていない印象も強かった。
しかし今シーズンは.346と大爆発。リーグ2位の4本塁打に加え、盗塁も18(19盗塁企図)とぶっちぎりのリーグ一位。全方面に渡ってチームに貢献している。

ネットゥーノ2から移籍してきたベネズエラ人捕手のオスマン・マーバル、ここ数年打撃成績が低迷していたイタリア代表常連のフアン・カルロス・インファンテの両選手も復活の数字を残すなど、元々実績のあった選手たちがその期待度以上の成績を残したことが打線の好調に繋がっている。

投打だけではなく、守備面もリーグナンバーワンのスタッツを記録。
DERを元にした防御点はリーグナンバーワンの+19.39。リーグ一位の防御力は守備面でもチームを支えている。
外野守備はセンターのアンブロッシノはリーグのセンターとしては平均的なレベルという印象。両翼のグリマウドやリベルチアーニも守備を得意とするタイプではない。
内野守備もファーストのサムブッチはプレミア12でもかなりチームの足を引っ張っていた。それらを踏まえると元メジャーリーガーのセデーニョと、イタリア人ナンバーワンと言っていい内野守備を誇るバリオの二遊間における貢献がかなり大きかったと見られる。
今年遊撃からサードに回ったインファンテも失策数は多かったものの好守を見せていたものと思われる。

このように見ていくと、投打守にわたってリーグナンバーワンを記録したボローニャが圧倒的な勝率を残してリーグを独走したのは当然と言っていいかもしれない。今年は無事にリーグタイトルを奪還したが、イタリア勢がここ2年逃している欧州王者の座も来年以降期待したい。


基本オーダー

5インファンテ ベネズエラ出身 プレミア12イタリア代表、13WBC代表、元エクスポズRk
6セデーニョ ベネズエラ出身、元パイレーツ
8アンブロッシノ プレミア12イタリア代表
Dマーバル ベネズエラ出身 元ブレーブス1A
3サムブッチ プレミア12イタリア代表
4バリオ  プレミア12イタリア代表、13WBC代表
9リベルツィアーニ アテネ五輪イタリア代表
2サバターニ  元イタリア代表
7グリマウード 14年U21イタリア代表

・主な先発投手

リベロ ベネズエラ出身、元オリオールズAA
ジエリンスキー アメリカ出身 米アトランティックリーグ
パネラティ プレミア12イタリア代表、13WBC代表、元富山、元レッズ1A


・主なリリーフ投手

クレパルディ プレミア12イタリア代表
ブッファ  イタリア系アメリカ人 米ユナイテッドリーグ
サール   13WBCオーストラリア代表、元石川、前ラミゴ
デサンティス 06WBCイタリア代表
ピッツィコーニ プレミア12イタリア代表、元ダイヤモンドバックス1A


・パオリーノ・アンブロッシノ ボローニャ 外野手 右右 26歳 

イタリア代表では貴重な5ツール外野手。特に今季は大爆発。リーグ5位の.346に同2位の4本塁打、ぶっちぎり1位の18盗塁と5ツールっぷりをいかんなく発揮する最高のシーズンとなっている。
オフにはニカラグアWLでプレーすることになっているとされ、WBCに向けた実力の研鑽とヨーロッパ人選手の新しい道を開拓してくれることに期待したい。

・アレッサンドロ・バリオ ボローニャ 二塁手 右右 26歳 

走攻守全てをバランスよく兼ね備えたイタリア球界を代表する内野手。昨年はレギュラーシーズンでOPS.923と復活を見せるも、今年は再び打撃成績は今一つ。元々は堅実さとスムーズさを兼ね備えた二塁守備が評価されていた選手であり、体は大きいが侍ジャパン戦でも国際レベルの華麗なフィールディングを見せていた。二塁を本職とするベースは変わらないが、今季はショートで出場する機会もしばしば。イタリア生まれ、イタリア育ち、イタリアリーグでしかプレー経験のない選手でもこのレベルの選手を生み出せたことはヨーロッパ野球の成長の証と言えるだろう。


・フィリッポ・クレパルディ ボローニャ 投手 右右 23歳 

ボローニャの若きリリーフエース。2014年のU21ワールドカップにも出場している。2年前にレッジョ・エミリアの一員としてIBLデビュー。先発にリリーフに大車輪の活躍を見せ、シーズン後にボローニャに引き抜かれそのままアジアシリーズにも出場している。
21Uでは先発も務めていたが、現在はボローニャではリリーフ専門。130キロ中盤から後半の速球に、スライダー、カーブなど一通り投げるが、特にチェンジアップを多投する傾向にある。


・ルカ・パネラティ ボローニャ 投手 左左 26歳 

シンシナティ・レッズのマイナーで4シーズンプレーしたイタリア出身左腕。実はBCリーグの富山にも2カ月だけ在籍したことがある(故障で退団)。躍動感のない、立ち投げ系のフォームから130キロ中盤-140キロほどのストレートとスライダー、チェンジアップをきっちり低めに集めてナンボというスタイル。13年WBCではアメリカ戦に先発し3回1失点という投球だった。

・フアン・カルロス・インファンテ ボローニャ 内野手 右両 33歳 ★

ベネズエラ出身だが、長年イタリア代表の内野手として活躍する33歳のベテラン内野手。13年WBC代表。スイッチヒッターとしての確実性の高いバッティング、盗塁王も獲得した脚力、軽快な守備と走攻守に貢献度の高い選手だが、ここ数年は打撃成績が低迷。今季は.312を残し復活のシーズンとなった。守備面では代表(プレミア12)に続いて、ボローニャでもショートを元メジャーリーガーのセデーニョに譲りサードに回っている。


・アレックス・サムブッチ ボローニャ 一塁手 右右 26歳 

「伊製大砲」として長年期待されているイタリアンスラッガー
昨シーズンは長年プレーしたパルマから移籍。
いわゆる「当たれば」飛ぶというタイプ。今年は1本塁打二塁打も5と、長打力も影をひそめたが、30打点を記録して打点王を獲得する勝負強さを見せた。昨年のプレミア12では西武の郭俊麟からホームランを放っている。
一塁守備はかなりお粗末で、打球処理、送球処理でかなり足を引っ張るため、DH起用が望ましい。

・アンドレア・ピッツィコーニ  ボローニャ 投手 右右 25歳 

かつてはダイヤモンドバックス傘下でプレーしていた元マイナーリーガー。MLBにスカウトされただけあって、ストレートは140キロ前後とそれなりの球威があり、曲がりの大きなスライダーとのコンビネーションが基本線。
ただ、投球が基本的に単調でボールもバラつきがかなり多い。与四球もそこそこの数。IBL復帰後も防御率は4~3点台というパっとしない数字を残す程度に収まっている。2014年のU21ワールドカップでは日本を下して優勝した台湾を相手に5回1失点とゲームを作った。

 

 

○リミニ レギュラーシーズン2位 22勝14敗

リーグ有数の戦力を持ちながら、タイトルを逃し続けてきたリミニ。
昨年ついにイタリアシリーズを制してスクデット(リーグタイトル)をIBL移行後では初めて獲得した。

リミニと言えばメジャー・マイナーでの実績が豊富なビッグネームを獲得する資金力で知られており、昨年末も2015年シーズンにMLBで19試合に登板したシーザー・ヒメネスの獲得を発表するなどその傾向は変わらないものと見られていた。
ただ、いざ蓋を開けてみるとヒメネスの獲得の話はいつの間にかなくなっており、ここ数年メジャー通算144試合出場を誇る実績通りの数字を残してきた主砲アレックス・ロメロも放出。昨年の後半戦に活躍したイタリア代表のジュゼッペ・マッツァンティもネットゥーノに移籍した。

もちろんネットゥーノからプレミア12代表外野手のエンニオ・レトロジーを獲得するなど、補強は色々行われているが、代わりの実績ある選手を獲得するような動きはなく、戦力の縮小を余儀なくされている。それでも、リーグでは上位の戦力を維持しているのには変わらないが・・・。

そんな中でチームを支えたのはやはり投手層の厚さだろう。
昨年イタリアシリーズMVPを獲得したドミニカ人投手のカンデラリオ、ベネズエラ出身で欧州を渡り歩くWBCスペイン代表左腕のリカルド・ヘルナンデスの2本柱は安定したピッチングを見せ、イタリア国籍を持つリケッティ、エスカローナも安定した数字を残して他との差をつけている。

リリーフでも今やイタリアリーグを代表するリリーバーとなっている元阪神ダーウィン・クビアンがリーグ最多の19試合に登板して防御率0.91と抜群の安定感。プレミア12代表投手でもあるテランやコラッディーニも控えているなど隙のないピッチングスタッフの構成となっている。

一方でロメロら実績のある選手を放出した打線は迫力に欠けた。
新外国人として獲得したダニエル・マヨラは助っ人にふさわしい成績を残してくれたものの、リミニより上位の2チームと比べるとチーム本塁打の数は半分の7本。
同じくベネズエラ人選手であるホセ・フローレスも安定した数字を残したが爆発力のある打線とは言い難かった。かつてのイタリア代表の4番であるハイロ・ラモスも45歳とは思えない頑張りを見せているものの、彼がスタメンとしてクリーンアップに入っているようではやはり苦しい。

守備面ではイタリア代表捕手であるベルタニョンに加えて、日系ブラジル人として日本の社会人野球でもプレー、イタリアのパスポートも持つルイス・カマルゴも加わり、二人のベテラン捕手の安定感と経験が投手陣を支えたはずだ。
フローレスを中心とした内野守備に加え、プレミア12のイタリア代表外野手であるステファノ・デシモニとエンニオ・レトロジーの左中間も鉄壁を誇った。DERはリーグ3位の数字を残している。

派手さはないなりにイタリアシリーズ進出は果たしたリミニ。来年はどのような陣容になるか分からないが大きく崩れることはないだろう。個人的にはまたロマンある補強を行ってリーグを盛り上げてもらいたいことろだが・・・。


基本オーダー

8デシモニ プレミア12イタリア代表
7レトロジー プレミア12イタリア代表
6フローレス ベネズエラ出身、元ジャイアンツAA
Dラモス  ベネズエラ出身、アネテ五輪イタリア代表
3マヨラ  ベネズエラ出身、元ドジャースAA
2カマルゴ ブラジル出身、元三菱重工広島、元イタリア代表
9カラドーナ
4ザッポーネ イタリア系ベネズエラ
5ディファビオ

・主な先発投手

カンデラリオ ドミニカ出身 ニアカラグアWLなど 15年イタリアシリーズMVP
エルナンデス 13WBCスペイン代表
リケッティ プレミア12イタリア代表 ドミニカ出身

・主なリリーフ投手

クビアン ベネズエラ出身、元阪神
エスカローナ ベネズエラ出身、イタリアとの二重国籍、対侍ジャパン戦欧州代表
コラッディーニ プレミア12イタリア代表
リベラ   プレミア12イタリア代表、ドミニカ出身
テラン   プレミア12イタリア代表、ベネズエラ出身、元信濃

・ホセ・エスカローナ リミニ 左左 投手 29歳 ★

イタリア系ベネズエラ人。マリナーズ傘下(主に1A)を経て2010年からイタリアでプレー。2011年にリーグの行ったドーピング検査で陽性となり、2年間の出場停止処分を受ける。処分が明けた2014年から再びイタリア球界に復帰している。前回の欧州選手権ではイタリア代表に選出。侍ジャパンと対戦した欧州選抜にも選出されている。
腕が下がっているので対左専用と見られがちだが、チェンジアップをしっかり扱えるので右打者にもしっかり対応できる。今年もロングリリーフに先発に多彩な役割を果たした。

・エンニオ・レトロジー リミニ 外野手 右右 27歳 

一昨年.333をマークし開花を予感させた俊足好打の外野手。
昨年もレギュラーとして.336というアベレージを残し、プレミア12で代表初選出となった。
元々は守備・走塁を評価されていた外野手であり、センターとして記録する刺殺数はリーグでここ数年傑出。リーグ有数の守備力を有するが、今季移籍したリミニではイタリア代表の先輩であるデシモニがいるため、両翼に回るケースが多かった。

・カルロス・リケッティ リミニ 投手 右右 33歳 ★

ドミニカ出身だが、19歳のころからイタリアのチームを転々と渡り歩いてきたイタリア代表常連のベテラン右腕。インステップ系のフォームから力のある球を投げるが、やはり球筋が素直ではないタイプ。ツーシーム系のボールは右打者は嫌な軌道なのではないだろうか。スライダーやカーブも織り交ぜてくる。先発、ロングリリーフ、クローザーを満遍なくこなせる利便性の高さも持ち味だが、前回の欧州選手権では格下のベルギー戦でノックアウトされるなど、絶対的な存在ではない。プレミアでは最速143キロ。

・リカルド・ベルタニョン リミニ 捕手 右左 32歳 

イタリア代表常連のベテラン捕手。世界大会も含め国際大会の経験は豊富。国内のイタリア出身捕手ではナンバーワンと言っていい実績を持つ。ただ海外育ちの捕手よりは実力が劣るため、常連とはいえ代表では絶対的な存在ではなかった。それほど打つ方で数字を残してきた捕手ではないのでどちらかというと守備型タイプで、今年は同タイプの元イタリア代表捕手、ルイス・カマルゴらと併用されていた。

・ステファノ・デシモニ リミニ 外野手 左左 27歳

俊足巧打の道を突き進む小兵外野手。
高い選球眼とセンターから逆方向に打ち返すコンタクト能力が売りな一方、パワーレスなため長打はほとんどなく、速球にも振り負けてしまう印象にある。今季は打率.266に対して出塁率は.379という成績だった。ほぼ長打のないスタイルで多くの四球を勝ち取る選球眼は出色。
イタリアの外野手にしてはスムーズな追い方が出来る外野守備も持ち味だが、肩は弱い。


・カルロス・テラン サンマリノ 投手 右右 25歳 ★

前回のヨーロッパ選手権、プレミア12に続いて選出されたイタリアにルーツを持つベネズエラ人。
長身から投げ下ろす140キロ台中盤の速球が持ち味のパワーリリーバー。
サンマリノから移籍してきた今季はチーム最多の17試合に登板した。かつて信濃グランセローズに「カルロス」という登録名で在籍。


○T&Aサンマリノ レギュラーシーズン3位 22勝14敗


2011年からリーグ3連覇を果たしたイタリアリーグ3強の一角。
どこからでも長打の出る重量打線と、優れた投手力を兼ね備えたバランスの良さが特徴だったが、2014年、15年はボローニャ、リミニに優勝を許す苦いシーズンとなっている。

かつてほどの派手さはなくなったが、チーム打率はリーグ2位の.270。ホームランも1位タイの14本塁打とリーグトップクラスの数字を残している。

特に大きかったのがパルマから獲得したセバスティアン・ポーマの大ブレイクだ。
昨年は.230台止まりだったものの、オフに参加した台湾WLで高打率を記録。プロレベルのピッチャー相手への対応力を見せ、そのままイタリアリーグでも好調を維持した。結果、.369を残し首位打者まで獲得したのだがこの「先物買い」が非常に大きく、ここ数年のサンマリノ打線を支えてきたデュラン・カルロスの穴を見事に埋めた。センターとしての守備力まで兼ね備えている彼の貢献度は非常に高い。

また、シーズン当初は本来はレフトを守らせたい主砲のマルティンバスケスがショートに入ることも多かったのだが、シーズン中にAAA経験を持つベネズエラ人ショートのカルロス・コルメナーズが加入。守備だけでなく.326のアベレージを記録し、攻守にわたってチームに貢献した。
バスケス、元イタリア代表のジョセフ・マツッカもまずまずの成績を残し、バランスのとれた打線だったと言えよう。
イタリア野球のアイコンであるマリオ・キアリーニも全盛期ほどではないが復活したのも大きい。
欲を言うなら、13WBCイタリア代表のジャック・サントラが2割を切る不振、プレミア12にも選出されていた強打の外野手マッティア・レジナトもパっとしなかった点か。彼らも一定の数字を残せれば数年前の重量打線にもっと近づけたはずだ。
守備面でもDERはリーグ2位。防御点に直すと+13.3という好成績を残した。失策数自体は43個でリーグワースト3位なのだが、ショートのコルメナーズを軸に、元代表ショートのサントラが二塁に回り、内野を複数守れるタイプの三塁手、マツッカもエラーは多かったものの貢献度は高かったのかもしれない。
外野守備もバスケスはLFなら標準以上に守れるだろうし、センターのポーマの守備力は高い。


そんなバックに支えられた投手陣。
かつてソフトバンクに所属し、前のシーズンは韓国プロ野球のKTでプレーしていたジャスティン・ジャマーノを獲得するも、たった2試合で退団することに。
しかしながら、パドーバで大活躍していたところを引き抜いたカルロス・ケベド、新外国人のヨイメル・カマーチョベネズエラ人先発2枚が二人で13勝と圧倒的な活躍を見せた。この2本柱の活躍がリーグ2位の防御率を支えた基礎となっていたようだ。
リリーフでも傑出した選手はいないものの、代表経験者や海外出身者など、そこそこの選手が並ぶ厚みのある布陣だったという印象だ。
昨年プレミア12にも選出されたイタリア系ベネズエラ人左腕のジョニー・フラキオーラが誤算だったか。
昨年はブンデスリーガでプレーしており、IBL初挑戦となったのだが、制球に苦しみにほとんど戦力にはなれないシーズンだった。左腕から放たれる140キロ中盤の速球は魅力的なだけに、彼が使い物になればサンマリノとしてもイタリア代表としても大きいはずだ。

投打にバランスのとれた成績で無難に上位に食い込んだサンマリノ。レギュラーシーズンは上二つから離された昨シーズンより持ち直した印象だが、今度こそリーグタイトルを奪還したいところである。

 

基本オーダー

8ポーマ アジアWL欧州選抜
4サントラ イタリア系アメリカ人、13WBCイタリア代表
7バスケス ベネズエラ出身、元石川、16年WBC予選ニカラグア代表
5マツッカ 元イタリア代表、イタリア系アメリカ人
6コルメナーズ ベネズエラ出身、元エンジェルスAAA
3キアリーニ 13WBCイタリア代表、プレミア12イタリア代表など、元マリナーズ1A
9レジナト  プレミア12イタリア代表
Dエルミニ 元イタリア代表
2アルバネーゼ

・主な先発投手

ケベド ベネズエラ出身、元アストロズAA
ジャマーノ アメリカ出身、元ソフトバンク
カマーチョ 元ダイヤモンドバックスA
ガレオッティ


・主なリリーフ投手

オルテガ ベネズエラ出身  元エンジェルス(MLB通算3試合)
コベーリ プレミア12イタリア代表 15年U18WCイタリア代表
オベルト ベネズエラ出身、プレミア12イタリア代表
フラキオーラ ベネズエラ出身、プレミア12イタリア代表


・マリオ・キアリーニ サンマリノ 外野手 34歳 

イタリア野球のアイコンといっていい外野手。アテネ五輪やWBC2大会連続出場などを果たしており、13年のWBCではライトのレギュラーとしてチームを史上初のベスト8に導いた。マリナーズ傘下でのプレー経験もあるが、基本的にイタリアリーグ一筋。確実性とパンチ力を持ち合わせた強打の外野手としてリミニで17年間デビューから活躍していたが、昨年からサンマリノに移籍。守備面ではWBCでもファインプレーを見せていた一方、スローイングにはかなり難があり穴になってしまうことも。打撃面で昨年、一昨年と低迷したが今年は回復。一塁も守った。

・ルドビコ・コベーリ  サンマリノ 投手 右右 18歳 

昨年はセリエBのチームで投げており、U18代表とプレミア12の両方でイタリア代表に選出された期待の若手。
セリエBでは54IPで被安打47、51三振という物足りない数字だったのでトップリーグで通用するか不安視されたが、リリーフで少し投げてますまずな成績。
130中盤ほどのツーシームが主体だが、プレミア12では最速で143キロを計測した。ボールを押し出すようなフォームから球筋の素直ではないボールを投じる。
代表ではリリーフとしてアクセントを加えたい。

・セバスティアン・ポーマ サンマリノ 外野手 左左

ついに今年覚醒したイタリアの安打製造機
パルマでプレーしていた昨年は.230台に終わるも、広角に打ち分ける打撃の片鱗は既に見せておりシーズンオフにプレーしたアジアウインターリーグではプロレベルの投手相手に高打率を残し覚醒のきっかけをつかむ。
弱小チームが減り、打高が落ち着いた今年のイタリアリーグでは高打率を残し首位打者を獲得した。
イタリアの打力のある外野手は守備に難がある傾向にあるが、センターの守備でもスムーズな動きを見せており攻守を兼ね備えた完成度でイタリア代表での活躍にも期待がかかる。

・フニオール・オベルト サンマリノ 投手 左左 36歳 ★

長年イタリア球界で活躍するベネズエラとイタリアの二重国籍左腕。
左のベテラン中継ぎとして地味に活躍している。
2013年にはボローニャの一員としてアジアシリーズに出場し、サムスンのイスンヨプに逆転本塁打を許した。
130キロ台の速球にスライダーを中心とした配球。左のリリーフの一コマとして期待。

 


○ネットゥーノ レギュラーシーズン4位 21勝15敗

イタリアの野球伝来の地であり、イタリアで最も野球熱が高いとされる町。
イタリアながら野球の熱があるそんな特殊な土地柄が「笑ってこらえて」で紹介されたこともあったくらいである。
セリエA時代はスクデット(リーグタイトル)を何度も獲得している名門チームだが、近年は優勝争いを演じ続けるバジェットがなく、中堅どころに落ち着いている。ただ、選手が抜けても新しい選手が育ってくるあたりはネットゥーノと野球の深いかかわりを示しているように思える。

かつてIBLは二軍の保有が義務付けられており、そのネットゥーノの二軍を母体とした「ネットゥーノ2」というチームが昨年まで2シーズン同じIBLで戦っていた。いわば兄弟チームが同一リーグを戦っていたのだが、再び今季統合。多少は戦力も厚くなったようだ。

チームを支えたのは実績豊富な助っ人外国人の先発二本柱。
MLBヤクルトスワローズ、台湾の統一ライオンズでもプレーしたドミニカ人の剛腕、エウロジオ・デラクルスと、AAAの経験を持つベネズエラ人投手のポール・エストラーダの2枚看板がネットゥーノのプレーオフ(4位)に導いたと言っていい。
代表クラスのイタリア人投手がいない点が、上位チームとの差になってくるだろうか。U21WC代表経験のあるミルビオ・アンドレオッツィという若手投手が先発の3番手を担ったが、130キロ未満のツーシームとカーブを軸に試合をまずまず作るというスタイルで、今後ののびしろにはあまり期待できそうにない印象だ。

打線に関しては実績のある助っ人外国人がおらず、打線の迫力や厚みにかけてしまった印象だ。チーム打率.225はリーグ6位である。
3シーズンぶりのネットゥーノ復帰となったイタリア代表のジュゼッペ・マッツァンティがリーグ1位の5本塁打を放って期待通りの活躍を見せてくれたが、彼の後に続くような選手はいなかった。

それを補うためという意識か、バントの数はリーグトップ。試合数を上回る数が記録されている。マッツァンティ以外の打者に満遍なくバントの機会が与えられており、勝負どころでは躊躇なく得点圏にランナーを進めることを重視していたようだ。ネットゥーノの土地柄もここに反映されている。

若手の活躍では、昨年から出場期待を得ている、昨年のU18ワールドカップ代表のアンドレア・セラローリが全て単打ながらまずまずの打率を残している、といったくらいだろうか。

守備面に目を向けると、DERはリーグの平均を下回るリーグワースト2位の数字を記録。得点換算すると-6.12だが、ノバーラが全体の平均を大きく下げまくっていることを考えると、ネットゥーノもかなり低い数字である。特にイタリア人選手だけで賄ったショートの守備で損失は多かったように思える。

シーズン途中からショートに回ったメルクリはマイナー経験もある若い内野手。昨年正ショートを守ったアジアWLで守備を見ることが出来たのだが、拙守を連発。フットワークは重く、守備範囲内の打球もイージーなバウンドにも合わせられない、というケースが目立った。シーズン当初は正ショートを守りながらも、終盤メルクリと入れ替わる形で二塁に戻ったアンドレア・セラローリもおそらくメルクリと守備力の差はなかったものと見られ、中南米出身のしっかり守れる内野手を構えているチームとはここで差がついてたはずだ。両コーナーの内野守備はそこそこ守れるメンバーだっただけにもったいない。外野守備に関しては、長年にわたって高い守備力でセンターを守ってきたレトロジーがリミニに移籍したことによるマイナスが大きかったかもしれない。

結果的には、2位3位とほぼ同じ成績を残しての4位でプレーオフ進出。戦力が入れ替わりながらも、上位に食らいついてい行けるところはさすがネットゥーノといったところか。来年以降もリーグで大きな存在感を放ち続けることは間違いないだろう。特に守備面の改善に期待したい。

基本オーダー

4アンドレア・セラローリ 15年U18イタリア代表
9フォンディン   キューバ出身
3インペリアーリ プレミア12イタリア代表
5マッツァンティ 09WBCイタリア代表、元マリナーズRk
2トーレス   ベネズエラ出身、元メッツA
7ジャネッティ
6メルクリ   元ブレーブスRk アジアWL欧州選抜
Dデペンポート イタリア系アメリカ人
8ジュゼッペ・セラローリ 

・主な先発投手

エストラーダ ベネズエラ出身、元アストロズAAA
デラクルス  ドミニカ出身、元ヤクルト
アンドレオッツィ 14年U21イタリア代表 アジアWL欧州選抜

・主なリリーフ投手
ロドリゲス ドミニカ出身
シモーネ
タスキーニ

 


レナト・インペリアーリ ネットゥーノ 内野手 右右 27歳 

代表のユーティリティー枠。元はショートストップながら、現在はセカンドを中心にファースト、サードもこなすマルチプレイヤー
打つ方は繋ぎ役と言った程度で派手な数字は残す印象はなかったが、昨年は一塁をメインにしながら.308を記録。今季も一塁を守りながらしっかり繋ぎ役として数字を残した。中南米出身選手に押しのけられて守る機会は少ないが、2011年には正ショートストップとして守備率.983という数字をマーク。動きはすこし二遊間の選手としては重たそうだが、内野ならどこでも守れる安定感を持つ。サンマリノに在籍する元代表のフランチェスコ・インペリアーリは実兄。

 


・ジュゼッペ・マッツァンティ ネットゥーノ 内野手 右右 33歳

イタリアを代表する右の大砲。かつてマリナーズ傘下に在籍したこともあったが、基本的にイタリアリーグでプレーしてきた。今年はかつて在籍していたネットゥーノの3年ぶりに復帰、5本塁打で単独本塁打王に輝いた。
リミニでプレーした昨年は対戦投手のレベルが上がるセカンドフェーズで.367と大爆発。プレミアでの活躍も期待されたが、本業との兼ね合いもあって選出されなかった。09年のWBCでは数少ない生粋のイタリア人選手のレギュラーとして出場し、ベネズエラ、カナダという強豪相手に13-5としっかり結果を残している。本職のサードの守備は国際レベルでは少し頼りないが、一塁の守備なら安定して守れるはずだ。「笑ってこらえて」ではチームの主砲としてインタビューに答えていた。


パルマ 5位 18勝18敗

2010年に発足した、イタリアンベースボールリーグ初年度王者。
セリエA時代からの名門であり、IBL発足後もしばらくはリミニ、サンマリノボローニャとともに4強を形成していたが、徐々に経済的な問題が出始めて上位チームとは差が開くようになっていってしまった。
そして昨シーズンはそれまでの主力選手を一気に放出することになり、さらなるどん底状態。懸念されてた通り、最下位に終わるという屈辱的なシーズンとなってしまっていた。

ただ、どん底だった昨年と比べると予算も2年前くらいの水準に戻ったようで、放出した主力選手が1年ぶりに復帰するなど中堅レベルの戦力に回復。かつての名門も復活の道をたどり始めたのだろうか。

打撃陣は相変わらずチーム打率が.227と貧打だったものの、ベネズエラ出身の内野手であるチャーリー・ミラバルとマリオ・マルティネスの二人が、チームのポイントゲッターとして最低限のチームのベースをキープ。
イタリア国籍も持つコロンビア出身内野手のアドルフォ・ゴメスも常にスタメンで出続けたわけではないが、高打率を残している。

U21ワールドカップに2年前出場していたアレッサンドロ・デオットも、.248と捕手としてはまずまずの打率に加えて27-23で.842の高い盗塁阻止率を記録。今後に期待を抱かせる一方で、4シーズンぶりにパルマへの復帰となった09WBC代表外野手のレオナルド・ジレーリは.180と期待を裏切る成績に終わった。
昨年までパルマに在籍していたセバスティアン・ポーマが今年サンマリノで大ブレイクを飾ったが、彼のようなイタリア人選手が出てこない限りは、打線に厚みは出てこない。

守備面では、DERはリーグの平均以上を記録。防御点に直すと+4.34という数字を残している。三遊間をベネズエラ出身のミラバルとマルティネスがしっかり締めたことが大きかったようだ。二塁のベネッティの7エラーや、外野守備にこれといった選手がいない点が上位チームとの差になっているだろうか。

投手陣では、昨年はゴドでプレーしていたベネズエラ人右腕のロナルド・ウビエドが5勝をマークしチームを牽引したが、1年ぶりに復帰したパルマの大黒柱ホセ・サンチェスが防御率6.25で1勝止まりと大誤算。
イタリア人先発のベルトリーニや終盤に加入したラモン・ロドリゲスがそこそこの活躍を見せたが、サンチェスの不調はやはり痛かった・・。


昨年セリエAで活躍し、大阪で行われたU18ワールドカップではキューバ戦に好投した新戦力のマイケル・ポンポーニは11試合で1勝2敗。防御率6.43。という数字に終わった。

完成度の高い投球が売りのポンポーニは今夏もU18代表のエースとしてヨーロッパ選手権に出場しているが、彼の成長も今後のパルマの復権に向けて大事な要素となってくるだろう。

実績のある選手が期待通りのフル稼働を見せ、イタリア人の若い選手の台頭次第すればさらに上位に近づける下地はあると見ていい。シーズンの最終盤には、昨年のリーグ王者のリミニに3連勝するなどの快進撃でジャスト勝率5割でフィニッシュ。今年がパルマ復活の第一歩となるよう、来年以降の奮戦にも期待したい。


・基本オーダー

Dゴメス コロンビア出身 イタリアと二重国籍
4ベネッティ
6ミラバル ベネズエラ出身 元ドジャース1A
5マルティネス ベネズエラ出身 元レッドソックス1A
9ガルベラ  イタリア系アメリカ人 
8ジレーリ  09WBCイタリア代表
3グラダリ  元U18イタリア代表
2デオット  14年U21イタリア代表
7ピアッツァ

・主な先発投手

サンチェス ベネズエラ出身 元メッツAAA
ベルトリーニ
ウビエド ベネズエラ出身 元ブルージェイズAAA
ロドリゲス ドミニカ出身 元インディアンズA

・主なリリーフ投手

ポンポーニ U18イタリア代表
ゴンザレス ベネズエラ出身 ベネズエラWLなど
パヤノ ドミニカとイタリアの二重国籍
ペラトリア 


・マイケル・ポンポーニ パルマ 投手 右右 18歳

昨年・今年のU18代表でエース格を担う完成度の高い若手右腕。
今年が初めてのIBL挑戦となった。
昨年はセリエAでジャスト9のK/BBを記録。大阪で行われたU18ワールドカップでは、チェンジアップ、スライダーを操りながら丁寧に内外角を投げ分けるピッチングで強打のキューバ相手に好投した。
スピードは130前後-中盤ほどだと思われるが、ソリッドなピッチングで今後も期待される。今年は格下のノバーラ戦で負け投手になるなど、思うような結果が残せず、大きな壁にぶつかった一年だったようだ。 

・アレッサンドロ・デオット パルマ 捕手 右右 21歳

U18やU21ワールドカップなど、年代別代表に選出されてきたイタリアの若手捕手。
今年も昨年に続いて27-23で.843と8割を超える阻止率を記録した強肩が持ち味。
バッティングは.248と昨年よりは向上を見せたものの、しっかりとしたキャッチングとスローイング、まずその基礎がしっかりできるイタリア人捕手がなかなかいないので、そこに磨きをかけていくことが先決のはずだ。昨年は台湾で行われたアジアWLにも参加している。


○トマシン・パドーバ 6位 パドーバ 14勝22敗

現在の3強であるボローニャサンマリノ、リミニに続く新勢力として昨年4位まで躍進したパドーバ。
2014年にIBLに参入したチームはついに強豪チームのしっぽをつかむものと思われたが、今シーズンは7チーム中6位と足踏みしたシーズンとなった。

打線の方は、昨シーズンの.217に続いて今季もチーム打率.242と低迷。
ベネズエラ人捕手のルイス・アルバレスが昨年に続いて.331の高打率を記録し、今季ネットゥーノから加入したイタリア系ベネズエラ人のレオナルド・フェリーニ、2年前に首位打者を獲得したアメリカ人外野手のニコラス・ノスティ、キューバ出身の元イタリア代表ライデル・チャペジーなどはまずまずの数字を残したものの、他のイタリア人選手がパっとせず。

イタリア代表経験のある元マイナーリーガー、内野手のルカ・マルトーネや、ボローニャの主力選手として2013年のアジアシリーズなどにも出場しているダニエレ・マレンゴなどが打率二割前後に低迷する誤算。

ダイナミックな遊撃守備に加えて、昨年初の3割を記録しプレミア12にも選出されたイタリア系ベネズエラ人のエリック・エピファーノも.257に終わってしまった。
リーグ最多、ダントツの盗塁企図77を記録するなど、打力不足をカバーしようとする意図は見られたものの、根本的な得点力不足が解決せず。

まあある程度想定されたことなので、ロースコアで勝ちきる、というチーム設計だったとは思うが、野手陣は守備面でも足を引っ張っている。
DERはリーグ5位の-3.56。特に上位3強とはかなり離されている。イタリア代表であるショートのエピファーノの守備はある程度しっかりしているはずなので、その他の内野手や外野守備が足を引っ張ったという事なのだろう。エラーの数も44でワースト2位と多かった。満遍なく多くの選手にエラーが記録されている。

 

一方の投手陣。
昨年の躍進を支えたベネズエラ出身のカルロス・ケベドがサンマリノに移籍。
彼は元の実績を考えても「大当たり」だったわけで、なかなか代わりが見つかるはずがない。

ルーキーリーグまでの実績しかないラウール・ルイズ、アンヘル・カレーロの両ベネズエラ人右腕が助っ人としての役割は果たしてくれているものの、昨季大車輪の働きで7勝をマークしたケベドの穴を埋めるには至らなかった。

昨年同様、イタリア人投手の働きはまずまず。
今年はリリーフから先発に回ったシモーネ・バッザリーニは役割が変わっても安定した投球を見せた。
ケベド頼りだった昨年と比べると、先発投手の特定の投手に対する依存度が解消されたという意味ではバランスがとれていたと言っていい。

今年加入した若手投手では、昨年U18ワールドカップで来日していたディエゴ・ファビアーニが今年パドーバの一員としてIBLデビュー。
昨年はU18のほかに台湾で行われたアジアウインターリーグの一員としても経験を積んでいるイタリアの有望株である。
130キロ台中盤の速球とチェンジアップを武器とする右腕は12試合ながら防御率2.02と上々のトップリーグデビュー。今後のパドーバの命運を握る存在と言っていい。

右肩上がりの躍進で昨年4位にまで上り詰めたことを考えると今年は一休みした感は否めないものの、費用対効果を考えると妥当な成績と言っていいだろう。
投手力という土台が整ってきていることを考えると、今後ののびしろは打線の補強次第ということになってくるのではないだろうか。


・基本オーダー

4マルトーネ 元アストロズRk
6エピファーノ ベネズエラ出身、プレミア12イタリア代表、元ブレーブスRk
8ノスティ アメリカ出身 イタリア国籍所有
2アルバレス ベネズエラ出身、元アストロズAA
Dチャペジー キューバ出身、元イタリア代表
9スチアーカ
3マレンゴ
7パッチーニ
5サンドロ

・主な先発投手
カレーロ ベネズエラ出身、元メッツ1A
カナチェ ベネズエラ出身、元カージナルスRk級
バッザリーニ
ルイーズ ベネズエラ出身、元パイレーツRk

・主なリリーフ投手

ファビアーニ 2015U18イタリア代表
リッゾ    ベネズエラ出身、元ツインズRk級 イタリアとの二重国籍
サパダ    元U18イタリア代表
シェルドン  アジアウインターリーグ欧州選抜

・エリック・エピファーノ パドーバ 内野手 右右 26歳 ★

4年間レイズ傘下などのルーキーリーグ(本土ではなくベネズエラやドミニカ)でプレーした後、イタリアに流れ着きパドーバで3チーム目。
ベネズエラとイタリアの二重国籍の遊撃手。昨年ははイタリアで初めて3割を超える打率を残したが、今季は再び.257と低迷。
バッティングは繋ぎ役にすぎず、基本的に守備の人という印象だ。
守備は軽やかと言うよりも、元々ヨーロッパにルーツを持つ大柄な内野手なので、ダイナミックな印象を受ける。
前回のヨーロッパ選手権でイタリア代表に初選出。9番サードとして黒子役に徹したが、代表の正ショートだったインファンテの守備に衰えがみられるため、彼と入れ替わる形でプレミア12では正ショートを守った。

・ディエゴ・ファビアーニ パドーバ 投手 右右 19歳

昨年U18ワールドカップのメンバーの一員として来日したイタリア期待の若手右腕。
昨年まではセリエAでプレーしていたが、今年IBL初挑戦となった。
130キロ中盤から後半まで計測する球威に、スライダー、カーブ、チェンジアップと一通り投げるが、チェンジアップを多投していた印象が強い。速球とチェンジアップを中心に奪三振が多い一方、ボールにバラつきが多く、与四球が多い点に加え、スピード自体も国際レベルでは武器にできるほどではないということが今後に向けた課題か。昨オフはアジアWLにも欧州選抜の一員として出場。

 

 

ノバーラ・ユナイテッド  7位 2勝34敗

2011年から3シーズンイタリアンベースボールリーグに在籍。当時は今以上に上位チームと下位チームにはっきり分断されており、そんな下位グループに属するお荷物チームの一つとして、成績はなかなか振るわなかった。
2016年シーズン、3シーズンぶりにイタリアのトップリーグへ復帰ということをチームは決断した。2015年シーズンに在籍したIBLの下部リーグにあたるセリエAでも所属するグループで10-18の最下位。
もちろん、IBL再挑戦に向けて補強はそれなりに行われていたのだが、全てにおいて根本的な戦力不足だったとしか言いようがない。
パドーバとパルマという同じ下位チームから2勝を挙げたのみ。2勝34敗で勝率は.056。
ポンタが応援するチームがオリックスではなくノバーラだったら、今頃息をしていないだろう。


打線で気を吐いたのは二人。
やはりイタリアリーグの下位チームにおいて軸となってくるのは、マイナーリーグではルーキー級などの下位級止まりでリリースされて世界をさまよっている中南米出身選手と言うことになる。
昨年はセリエAで.387を残したベネズエラ人捕手のホセ・マルケスはチームトップの.286を記録した。

そしてまさしく「投打」における大黒柱として奮闘したのがかつてボローニャでもプレーしていたアレックス・バッサーニ。
ボローニャなどでもリリーフ投手をメインとしながら内野手も兼任していたのだが、今シーズンは本格的に「二刀流」としてチームを支えた。
野手としてはサードを守りながらチーム2位の.259を記録している。4番投手として出場し、降板後も内野手として守備に就く、という形をとっていたことも。裏を返せば、それだけ層が薄いという事である・・・。

マルケスと同様にマイナーリーグ経験のある中南米出身選手のホセ・ガルシアやレオ・ロドリゲスといった内野手が助っ人らしい打撃成績を残せなかったことも大きな誤算。イタリア人選手でもほかに活躍を見せた選手はおらず、チーム打率はリーグ最低の.181という結果に終わっている。U18代表の主砲であるジウリオ・モネーロや昨年セリエAで3割を記録しているマッティア・バラルダあたりに来季以降は期待したい。

ここでは投手陣に触れる前に、ピッチャーの足を大きくひっぱったであろうチームの守備力についても先に触れておきたい。
失策数でリーグワーストの54失策を記録。さらにDERはリーグダントツの最下位。得点換算すると-36.03。
毎試合、リーグの平均的な守備と比べると1点余計に守備で失っていたということになる。
どこまでこの数字の精度が高いかは分からないが、ノバーラの守備がかなりピッチャーの足を引っ張っていたのは間違いない。
特にショートの守備で迷走しており、ベネズエラ出身ショートのホセ・ガルシアが18試合で13失策と守備でも大誤算。
20歳のフィリッポ・アグレッティが彼の代わりにショート入るなど奮闘したものの、他のチームとはここで大きく差が付いていたのは間違いない。

そういった守りをバックに投げた投手陣。イタリアで長年プレーしているベネズエラ人投手のユルマン・リベイロは計算通りの投球はしたものの援護や守備に恵まれず勝ち星はゼロ。
AAA経験者というIBL下位チームの助っ人としては大きな実績を持つドミニカンのジョナサン・アリスティルやベネズエラ出身のホセ・アレーナスも実績を見せつけるような結果は残せなかった。

最大の期待はずれはネットゥーノから移籍してきたダビド・アンセルミ。かつてU18ワールドカップではエースとしてオーストラリアから勝利し、エンジェルス傘下でもプレーした若手のイタリア人投手だが、課題の制球難がさらに加速し12イニングで17四球。
防御率12.75とほとんど戦力になれなかった。イタリア代表入りも期待される投手だったが、下位チームに移籍して更に成績を落とすというキャリアとしても崖っぷちと言っていいだろう。

そんなアンセルミと共に2年前のU21ワールドカップのメンバーに選ばれていたのがエンリコ・バリン。130キロ後半の球速をU21では計測するなどマイナー経験のない十代のイタリア人投手としてまずまずのポテンシャルを見せた右腕は、今年が初めてのトップリーグ挑戦となったが、防御率6.17と満足のいく数字は残せていない。イタリア人投手では、二刀流のバッサーニが唯一まともな戦力だったと言える。チーム全体の防御率は5.79だった。

来シーズンもIBLで戦いを継続するかは不透明。
継続する場合は、バリンやアンセルミといった若い投手の成長など投手陣の整備、さらに守備面ではまずしっかり守れるショートの獲得。チームを立て直すうえでは、まずその2点が大事となってくるはずだ。本当のところは全ての面において補強が必要ではあるのだが・・。

・基本オーダー

9バラルダ
4アグレッティ
6ガルシア ベネズエラ出身 元カージナルスAAA
2マルケス ベネズエラ出身 元パイレーツ1A
5バッサーニ 二刀流
Dテアルディ
7モネーロ U18イタリア代表
3モディカ
8ドボレッタ


・主な先発投手

リベイロ ベネズエラ出身 元マーリンズRk ポルトガルとの二重国籍
アレーナス ベネズエラ出身 元エンジェルスAAA
アリスティル ドミニカ出身 元アストロズAAA
バッサーニ

・主なリリーフ投手

アンセルミ 元レッズ傘下、元U18・21イタリア代表
バリン   2014U21イタリア代表


・エンリコ・バリン  ノバーラ 投手 右右 21歳

セリエBに所属しながら、2014年に台湾で行われていた21Uワールドカップのイタリア代表にも選出された右腕。21Uではスライダーやチェンジアップに加え速球が130キロ中盤-後半の球速を計測するなど、マイナー歴のない十代のイタリア人投手としてはそこそこの球威を披露しており今後を期待させる投球だったが、制球や変化球の精度などで課題も見えた。
21歳になった今年初めてイタリアのトップリーグに挑戦。安定しないチーム事情に、与四球の多さ、対戦相手のレベルが上がり、球威だけでは通用しないという壁にもぶつかり、先発、リリーフ両方をこなしながら防御率6.17と不本意な成績。
年齢が若く、そこそこスピードがあるだけに、今後のアップサイドに期待したい。


○個人タイトル

首位打者:セバスティアン・ポーマ(サンマリノ/イタリア) .369
本塁打王:ジュゼッペ・マッツァンティ(ネットゥーノ/イタリア) 5本
打点王:アレックス・サンブッチ(ボローニャ/イタリア) 30打点
盗塁王:パオリーノ・アンブロッシノ(ボローニャ/イタリア) 18盗塁

最多勝:マシュー・ジエリンスキー(ボローニャ/アメリカ) 9勝
最優秀防御率:マシュー・ジエリンスキー(ボローニャ/アメリカ) 0.53
最多奪三振:ジョナサン・アリスティル(ノバーラ/ドミニカ) 89奪三振
最多セーブダーウィン・クビアン(リミニ/ベネズエラ)4セーブ

イタリアンベースボールリーグ2015総括&プレミア12イタリア代表名鑑

ヨーロッパ最高峰のリーグであるイタリア野球リーグの総括をしながら、メンバーの多くを占めてくるであろう同リーグのプレミア12イタリア代表選手を紹介していく、という形式にしたいと思います。この記事をイタリア野球を理解する一端にしていただければなと。
まあ、イタリアは日本と違う組なのでこのチームがフォーカスされるようなことはほとんどないと思いますが・・。
WBCのイタリア代表は米国でプレーしているイタリア系が中心。プレミア12のイタリア代表も中南米出身選手やイタリア系の選手も多く入ってくるものの、ほとんどイタリアのリーグでプレーしているイタリア国籍を持っている選手たちです。こちらのチームの方が、「イタリアの野球」というものを最も反映していると言えるのではないかな、と(今代表はイタリア育ちのイタリア人が19人、海外育ちのイタリア系選手が9人)
2010年の台湾インターコンチ杯ではNPBの若手選手で構成された日本代表や、地元の台湾代表(国内プロ+マイナー選手中心)をイタリア代表が破っています。それなりに、国際レベルでも戦える水準を持っていると言っていいかと。

一方で、今年のイタリアンベースボールリーグ。
セリエAの中から、経済力のあるチームを集めて独立して作られた今年で6年目になるリーグですね。プロリーグではないのですが、きっちり報酬があり、外国人選手など一部の主力選手を除いて平日に仕事をこなしながら週末にプレーするセミプロリーグといったところでしょうか。
今シーズンはまず8チームで28試合のリーグ戦(ファーストフェーズ、レギュラーシーズン)を行ったあと、上位4チームだけで二次リーグ(セカンドフェーズ)を18試合消化する形でした。
上位チームと下位チームの実力的な格差、さらには試合数を多く行えるのも経済力のあるチームに限定しないと難しい、という事情もあったのではないかと思います。昨年から導入されていますが、これは妙案だったんじゃないかなと。

レベル的には、上位チームはプロと言っていい水準にあるんじゃないでしょうかね。
だいたいのチームはメキシカンリーグやAAA、AAくらいでやってたような助っ人選手に、イタリア国籍を取得している中南米の元マイナーリーガー、そして代表クラスのイタリア人選手、といったチーム構成になっています。

上位チームと下位チームの格差も激しく、外国人選手とイタリア人選手の実力差もあるので、どのリーグのレベルだ、とは一概には言いにくい。選手のレベルが均質化されてないですからね。あえて言うなら全体を平均すればRk-1Aショートシーズンくらい、上位リーグはもう1ランク上がるかな、、と思ってはいるのですが。

今年は最下位のチームでも勝率は2割台。これでも以前は1割を切ったチームまであったことを考えるとだいぶ改善されてきた印象です。
毎年たびたび何かしら問題が起こる印象のイタリアリーグですが、徐々にいい方向に向かって行ってると思える部分も多い。

 


来年は国内リーグと並行して平日に行われるユーロリーグベースボールも開幕します(イタリアからはボローニャサンマリノが参戦予定)。より欧州でプレーしながらプロに近いレベル、試合数をこなせる環境も整いつつあったりと、今後も成長が見込める地域になりつつある欧州野球。その最高峰のリーグの選手で構成されるプレミア12イタリア代表の戦いは注目するに値するのではないでしょうか。

 

プレミア12イタリア代表メンバー

※選手の横に★が付いている選手は海外育ちのイタリア系選手

投手:コラッディーニ(リミニ)、コベーリ(サンマリノ)、クレパルディ(ボローニャ)、★フラチオーラ(レーゲンスブルグ/ドイツ)、
★ルーゴ(インディアンス1A)、マエストリオリックス)、★ニールセン(カージナルス1A)、★オベルト(サンマリノ)、パネラティ(ボローニャ)、ピッチコーニ(サンマリノ)、★リチェッティ(リミニ)、★リベラ(パルマ)、★テラン(サンマリノ)、モレアーレ(サンマリノ

捕手:ミネオ(カブス1A)、ベルタニョン(リミニ)

内野手:★エピファーノ(パドーバ)、インペリアーリ(ネットゥーノ)、★インファンテ(ボローニャ)、★ノゲーラ(パルマ)、サムブッチ(ボローニャ)、バリオ(ボローニャ

外野手:アンブロシーニ(ボローニャ)、セーリ(ドジャース1A)、デシモニ(リミニ)、レジナト(ネットゥーノ2)、レトローシ(ネットゥーノ)、キアリーニ(サンマリノ


○優勝 リミニ レギュラーシーズン:18勝10敗(2位) セカンドフェーズ(上位リーグ):9勝9敗(2位)

資金力的にはIBLでも屈指だっただけに、6年目にして初優勝はちょっと遅かった。タイトルのかかったイタリアシリーズやヨーロピアンカップ決勝ではここ数年結果を残せていなかったので、喜びは大きいはず。レギュラーシーズン、上位リーグ(セカンドフェーズ)ともにボローニャを下回る2位だったものの、イタリアシリーズでリベンジを果たした。特にセカンドフェーズ直接対決では1勝5敗と完全に負け越していただけにスイープでのイタリアシリーズ制覇は意外な結末と言える。

これまで同様、打線で中心となったのは在籍3年目のベネズエラ出身、アレックス・ロメロ。13年WBCベネズエラ代表や、ダイヤモンドバックスで通算144試合のメジャー実績を持つ外野手のスラッガー。レギュラーシーズン(ファーストフェーズ)ではリーグトップの.388を残すというハイパフォーマンスだった。
一方で上位リーグではイタリア代表でも主砲であるジュゼッペ・マッツァンティが.367というリーグトップの数字を残してチームを支えた。(プレミア12は仕事の関係で選出されなかった模様)。8チームのリーグ戦では比較的下位のチームから打率を稼ぎやすいIBLだが、上位チームの主力投手としか対戦しないセカンドフェーズでこの数字は高く評価されるべきだろう。
昨年までリミニのショートを長年務めてきたWBCイタリア代表のジャック・サントラ(現サンマリノ)に代わる存在として獲得したビッグネームのレイ・オルメド(内野のユーティリティーとしてMLB通算218試合出場、昨年はレイズのAAA)もショートの守備にシーズンを通じてのハイアベレージと攻守に実績を証明する活躍をみせてくれた。

投手では、ニカラグアやメキシコのリーグを渡り歩いていたドミニカ出身のアレクシス・カンデラリオがリーグ戦で計9勝。さらにはイタリアシリーズでも2勝を上げシリーズMVPを獲得するなど期待を大きく上回る活躍を見せてくれたのも大きかった。
先発では彼に続く存在として長年イタリアで活躍しイタリア代表でもプレーしているドミニカ出身のカルロス・リチェッティが10勝を記録。
リリーフでも日欧野球でも来日した左腕のホセ・エスカローナから09WBCベネズエラ代表ビクトル・モレノへの勝ちパターンが確立されており、先発リリーフ両面で活躍したイタリア代表右腕のロベルト・コラッディーニも含めた投手層の厚さが、このチームの初優勝を支えたと言っていい。


・カルロス・リチェッティ リミニ 投手 右右 32歳 ★

ドミニカ出身だが、19歳のころからイタリアのチームを転々と渡り歩いてきたイタリア代表常連のベテラン右腕。インステップ系のフォームから力のある球を投げるが、やはり球筋が素直ではないタイプ。ツーシーム系のボールは右打者は嫌な軌道なのではないだろうか。スライダーやカーブも織り交ぜてくる。先発、ロングリリーフ、クローザーを満遍なくこなせる利便性の高さも持ち味だが、昨年の欧州選手権では格下のベルギー戦でノックアウトされるなど、絶対的な存在ではない。

・ロベルト・コラッディーニ リミニ 投手 右右 37歳 

老獪な投球でリミニを支えるベテラン投手。年齢も高く、スピードも130キロそこそこほどだと思われるが、ツーシーム、カッター、カーブなどを低めにしっかり集めて打ち取っていく。35歳だった2年前にはキャリア最高の11勝をマーク。オランダのコルデマンスに非常にタイプが近い。今年は外国人投手二人がいるため、主にリリーフがメインだったが、イタリアシリーズでは第2戦に先発して6回自責点2で勝ち投手。リリーフ、先発を問わない活躍を期待できる。

 

・ステファノ・デシモニ リミニ 外野手 左左 26歳 

13WBCイタリア代表。左の俊足巧打の外野手。ここ数年堅実に打率を残し、今年も打率.282に対して出塁率.398と、選球眼の良さも特徴である。逆方向へのコンパクトな打撃が持ち味だが、今シーズンは191打席にたって長打が二塁打2本のみとパワーレスすぎるのが欠点。
地元パルマの看板選手として長年プレーしていたが、より資金力で勝るリミニへの移籍を昨年末に決断。
外野守備のレベルが高くないイタリアリーグの中では守備は評価されており、昨年はリーグのゴールドグラブ賞を受賞している。侍ジャパン戦での映像を見る限りでは無難にこなしているが、肩ははっきり言って弱い。

・リカルド・ベルタニョン リミニ 捕手 右左 31歳 

イタリア代表常連のベテラン捕手。世界大会も含め国際大会の経験は豊富。国内のイタリア出身捕手ではナンバーワンと言っていい実績を持つ。ただ海外育ちの捕手よりは実力が劣るため、常連とはいえ代表では絶対的な存在ではなかった。それほど打つ方で数字を残してきた捕手ではないのでどちらかというと守備型の選手だが、今年はファーストフェーズで.323と少ない打数ながら打撃成績はキャリアハイだった。

 


○二位 ボローニャ レギュラーシーズン:23勝5敗(1位) 上位リーグ:14勝4敗(1位)

レギュラーシーズンで勝率.821、さらに上位リーグでもぶっちぎりの1位でフィニッシュしながらも、イタリアシリーズでリミニに敗れて今年は無冠に終わったボローニャ。ただ、成績的には今年のイタリアリーグでは最も強かったチームと言っていいだろう。

チームの大黒柱は、ボローニャを超えてイタリア球界を代表する内野手になったアレッサンドロ・バリオ。堅実さと軽快さを兼ね備えた二塁守備は今年も健在。昨年は低迷していたバッティング面でも打率.340、OPS.923と復活した。攻守両面でチームを支えていたと言っていい。

新助っ人では昨年までメキシカンリーグでプレーしていたベネズエラ出身3Bセサール・スアレスは期待通り.306(セカンドフェーズは.333)をマーク。

ベテランでは今年40歳を迎えたアテネ五輪代表外野手のクラウディオ・レベルチアーニが変わらずのハイアベレージを記録した一方で、同じくイタリア代表でも長年プレーしているショートのフアン・カルロス・インファンテは昨年に続いて打率は2割台半ばとイマイチ。守備面では外せない存在ではあるけども、年齢の壁にぶつかり始めた印象だ。

ピッチングスタッフではレイズ傘下時代にAAAまで昇格した経験を持つアメリカ人右腕のマーキス・フレミングがレギュラーシーズン・上位リーグ合わせて13勝と大車輪の活躍。
イタリア代表経験を持つリカルド・デサンティスが8勝、上位リーグで先発に回って4勝したベネズエラ出身のラウール・リベロがそれに続く存在だった。

リリーフでは、右ではフィリッポ・クレパルディ、左では13WBCアメリカ戦で先発したルカ・パネラッティのイタリア代表コンビに加え、セカンドフェーズから去年までメキシコでプレーしていたベネズエラ人右腕ラファエル・コバが加入。リミニ同様投手層の厚さはやはりイタリアでは際立っていたと言っていい。

シーズンの成績を考えると、あまりイタリアシリーズの結果は深く考える必要はない。来シーズンも優勝候補最右翼といっていいのではないだろうか。

・アレッサンドロ・バリオ ボローニャ 二塁手 右右 26歳 

イタリアの山田哲人。2012年にブレイクしたイタリア球界を代表する強打の二塁手。13年にはOPS10割超を記録するも、昨年はシーズンを通じて数字が低迷。ただ今年はファーストフェーズで.923と復活を見せた。13WBCにも経験を積ます意味でちょこっと出場している。元々は堅実さとスムーズさを兼ね備えた二塁守備が評価されていた選手であり、体は大きいが侍ジャパン戦でも国際レベルの華麗なフィールディングを見せていた。体勢が崩された中でも強いスローイングを投げることもできる。イタリア生まれ、イタリア育ち、イタリアリーグでしかプレー経験のない選手でもこのレベルの選手を生み出せたことはヨーロッパ野球の成長の証と言えるだろう。

・フィリッポ・クレパルディ ボローニャ 投手 右右 23歳 

ボローニャの若きリリーフエース。昨年のU21ワールドカップにも出場している。2年前にレッジョ・エミリアの一員としてIBLデビュー。先発に
リリーフに大車輪の活躍を見せ、シーズン後にボローニャに引き抜かれそのままアジアシリーズにも出場している。
21Uでは先発も務めていたが、現在はリミニではリリーフ専門。130キロ中盤から後半の速球に、スライダー、カーブなど一通り投げるが、特にチェンジアップが印象深かった。

・ルカ・パネラティ ボローニャ 投手 左左 26歳 

シンシナティ・レッズのマイナーで4シーズンプレーしたイタリア出身左腕。実はBCリーグの富山にも2カ月だけ在籍したことがある(故障で退団)。「躍動感のない」立ち投げ系のフォームから130キロ中盤-140キロほどのストレートとスライダー、チェンジアップをきっちり低めに集めてナンボというスタイル。13年WBCではアメリカ戦に先発し3回1失点という投球だった。今年はファーストフェーズでは不調もその後持ち直す。代表ではフラチオーレとともに左のリリーフという扱いか。


・フアン・カルロス・インファンテ ボローニャ 内野手 右両 33歳 ★

ベネズエラ出身だが、長年イタリア代表のショートストップとして活躍する33歳のベテラン内野手。13年WBC代表。スイッチヒッターとしての確実性の高いバッティング、盗塁王も獲得した脚力、軽快な守備と走攻守に貢献度の高い選手だが、昨年から打つ方では低迷していると言っていい。経験やショートの守備を考えるとやはり外せない選手でもあるけど。ショートだけでなく、サードでプレーすることも考えられる。


・パオリーノ・アンブロシーノ ボローニャ 外野手 右右 26歳 

イタリア代表では貴重な5ツール外野手。今シーズンも3本塁打を記録した長打力に、12盗塁を記録したスピードを併せ持つ。
また、イタリアは肩の弱い外野手が多いのだが、アンブロシーニは80マイル台後半を計測したとされる強肩も備える。
打率が3割を超えたシーズンがないのが数少ない欠点で、スペックのわりに代表漏れがちょくちょくある。


・アレックス・サムブッチ ボローニャ 一塁手 右右 26歳 

「伊製大砲」として長年期待されているイタリアンスラッガー
今シーズンは長年プレーしたパルマから移籍。
ファーストフェーズでは3割を超える打率を残すも、投手のレベルが上がるセカンドフェーズ、イタリアシリーズと低迷が続いたことが国際大会を戦ううえでは気がかり。長所である長打力も影をひそめた。


○3位 サンマリノ レギュラーシーズン:16勝12敗(3位) セカンドフェーズ:8勝10敗(3位)

2年前のリーグチャンピオン。昨年は欧州王者に輝くなど、リミニ、ボローニャと並ぶイタリアリーグの強豪だが、今年はシーズンを通じて「3位」というポジションがはっきりした成績でフィニッシュしてしまった。

最大の原因は投手力の低下。とくにレギュラーシーズンは防御率4点台(リミニ、ボローニャは2点台前半)、上位リーグも3点台半ばとシーズンを通じての課題だったと言っていい。

昨年はファーストフェーズだけで8勝を挙げたベネズエラ人右腕のジュニオール・ゲラ(今年ホワイトソックスマイナー契約を果たし、6月にはメジャー昇格)が大黒柱としてチームを支えていたが、彼に匹敵するような存在はおらずドミニカ人右腕のロドニー・ロドリゲスというベテランがまずまず頑張ったといった程度。今年獲得した元楽天のロムロ・サンチェスも結果が残せず数試合で退団してしまい、イタリア人元マイナー投手のアンドレア・ピッチコーニ(元ロイヤルズ傘下)も防御率4点台と今年も振るわず。2010年にはシカゴ・カブスで41試合に登板しているジャスティン・バーグを7月に獲得するも上位2チームには及ばなかった。
リリーフではサンマリノでの在籍も5年目になったダーウィン・クビアン(元阪神)らがまずまず働きを見せたものの・・。


打線もリーグ最強を誇った数年前と比べて、現在は見劣りする印象だ。

気を吐いたのはこのチームで長年主軸として支えている中南米出身コンビ。
かつてBCリーグ石川でもプレーしたベネズエラ人外野手のウィリアン・バスケスとドミニカ人センターのデュラン・カルロスは例年同様レギュラーシーズン、セカンドフェーズを通じてバッティングで数字を残した。とくにバスケスはリーグ2位の.364にリーグ唯一のOPS10割台というリーグ最強打者と言っていい大爆発。代表経験もあるイタリア系スラッガーのジョセフ・マツッカもシーズンを通じて3割を超える奮闘を見せている。
一方でイタリア代表経験も豊富なベテラン組が徐々に数字を残せなくなってきてしまっているのも見逃せない現実である。

WBCアテネ五輪でレギュラーとして活躍しイタリア代表の顔と言っていいマリオ・キアリーニ。17シーズンプレーした地元リミニから今シーズンサンマリノに移籍してきたが、昨年同様今年もかつてのような数字は残せなかった。とくにセカンドフェーズに入ってからは打率.127という悲惨さ。
キアリーニ同様今年移籍してきたジャック・サントラ(13年WBC代表ショート)とセリエAのチームから今年復帰した巧打の外野手ガブリエル・エルミニ(2012年に.363を記録)は共に39歳のシーズンを迎えたが、打率が2割台前半や中盤といった数字に終始してしまっている。イタリア代表の4番を長年に渡って務めたハイロ・ラモス(ベネズエラ出身、アテネ五輪、06WBC出場)も今年44歳と、来年以降の復活に期待するのには無理があるだろう。
シーズンを通じて活躍が期待できる先発投手の確保と、野手陣の世代交代。この二つが遂行できなければ来年もリミニやボローニャに離された3位におさまってしまうのは間違いないのではないだろうか。

・アンドレア・ピッチコーニ  サンマリノ 投手 右右 24歳 

かつてはダイヤモンドバックス傘下でプレーしていた元マイナーリーガー。MLBにスカウトされただけあって、ストレートは140キロ前後とそれなりの球威があり、曲がりの大きなスライダーとのコンビネーションが基本線。
ただ、投球が基本的に単調でボールもバラつきがかなり多い。与四球もそこそこの数。IBL復帰後は防御率が4点を下回ったことが一度もないというパッとしない成績に終始しているが、元のポテンシャルを考えるとまだまだ期待したい素材とも言える。U21ワールドカップでは日本を下して優勝した台湾を相手に5回1失点とゲームを作った。


・ルドビコ・コベーリ  サンマリノ 投手 右右 18歳 

所属はサンマリノだが、今シーズン終了後に加入。今年はセリエBのチームで投げていたU18代表右腕。
筆者は彼がU18台湾戦で先発した試合を見たが、特別そのチームの中でも力のある投手という印象はなかっただけに代表入りは意外。
セリエBというトップリーグから離れたリーグは評価が難しいが、54IPで被安打47、51三振という数字は物足りない。
直接見た印象では130中盤ほど。ボールを押し出すようなフォームから球筋の素直ではないボールを投じる。
代表ではリリーフとしてアクセントを加えたい。


・フニオール・オベルト サンマリノ 投手 左左 35歳 ★

長年イタリア球界で活躍するベネズエラとイタリアの二重国籍左腕。
左のベテラン中継ぎとして地味に活躍している。
2013年にはボローニャの一員としてアジアシリーズに出場し、サムスンのイスンヨプに逆転本塁打を許した。
130キロ台の速球にスライダーを中心とした配球。今代表も左のリリーフの一コマとして待機する。


・カルロス・テラン サンマリノ 投手 右右 25歳 ★

昨年のヨーロッパ選手権に続いて選出された若手長身右腕。
長身から力強いボールとチェンジアップを投げ下ろす一方、制球力に課題がある。
「ポテンシャル枠」からの脱皮を今大会では目指したいところ。出身はベネズエラで、信濃グランセローズに在籍経験がある。

・ニコラス・モレアーレ サンマリノ 投手・一塁手 27歳 

投手野手両方での出場機会のある二刀流選手。今回はユーティリティーとして選ばれている。
数合わせ感は否めず、投打ともに目立った数字は残せていないというか、出場機会も少ない控え選手である。
どちらかというと投手がメイン。130キロ前半ほどだと思われ、オーソドックスなピッチングスタイル。
カーブ、チェンジアップなどで丁寧に低目を突こうとする意識が垣間見えるが、スタッツでは与四球が多い。


・マリオ・キアリーニ サンマリノ 外野手 34歳 

イタリア野球のアイコンといっていい外野手。アテネ五輪やWBC2大会連続出場などを果たしており、13年のWBCではライトのレギュラーとしてチームを史上初のベスト8に導いた。マリナーズ傘下でのプレー経験もあるが、基本的にイタリアリーグ一筋。確実性とパンチ力を持ち合わせた強打の外野手としてリミニで17年間デビューから活躍していたが、今年からサンマリノに移籍。守備面ではWBCでもファインプレーを見せていた一方、スローイングにはかなり難があり穴になってしまうことも。打撃面でも昨年から低迷。

○4位パドーバ レギュラーシーズン:16勝12敗(4位) セカンドフェーズ:5勝13敗(4位)

長年イタリアリーグを支えてきたリミニやボローニャサンマリノの3強に続くチームとして期待されている新興勢力のパドーバ。リーグへ加入したのも2014年からだが、着実に力をつけてきた。今年もイタリア代表経験者や他チームで実績のあった外国人らを数名補強するなど、徐々に存在感は増している。既に3強にとっても星勘定できない地力は付いてきた一方、セカンドフェーズの成績を見ても3強からはまだ距離は開いている、という位置付けだ。

先発の柱はアストロズのAA級などでプレーしていたベネズエラ人右腕のカルロス・ケベド。レギュラーシーズンで7勝、リーグ2位の防御率1.89をマーク。彼の存在がパドーバを3強にとって無視でない存在に押し上げたと言っていい。
一方で彼に続く2番手先発が定まらなかったことが、3強との差にもつながっている印象だ。
セリエAでの活躍が認められ、昨年からパドーバに引き抜かれた先発2番手エンリコ・クレパルディはイタリア人投手としてはそこまで悪くない選手だが、上位チームは2枚外国人スターターを揃えていることを考えるとここで付く差は小さくない。

リミニから移籍してきた元西武のエンリケ・ゴンザレスはこのチームで最も実績のある外国人投手だが、リリーフ投手なうえにリリーフとしても防御率3.63と物足りない。彼に代わってもう一枚先発でケベド級の投手を確保できれば、もっと上位をとどろかせる存在になってくるのではないだろうか。他のリリーフは絶対的な選手はいないものの、それなりに駒は揃っていると言っていい。

野手陣は上位クラブのレギュラー・準レギュラークラスのような選手は集まってきているものの、国内組のイタリア代表に選ばれるような選手はベネズエラ出身(イタリア国籍も持っている)のエリック・エピファーノくらいだろうか。レギュラーシーズンでは.300を超える打率をマークし、ショートストップとして守備面でも欠かせない存在である。同郷のケベドとアストロズのマイナー時代からバッテリーを組んでいた捕手のルイス・アルバレスも助っ人として攻守両面で貢献度の高かった選手と言えるだろう。
実績のある選手で言えばサンマリノなどで活躍し、元イタリア代表の主軸だったキューバ出身のライデル・チャペジーも獲得したが、さすがに44歳では厳しすぎたようだ。
エピファーノ、アルバレス以外に攻守で頼れるような選手がいないのが現状であるが、アストロズの傘下でプレーしていたイタリア人内野手のルカ・マルトーネ(23歳、イタリア代表経験もあり。今年は.222に終わった)らの成長に期待したいところ。

まだ3強の壁は厚いものの、来年も将来的に上位を狙えるチームを完成させるための下地作りの一年としていきたい。

 

・エリック・エピファーノ パドーバ 内野手 右右 25歳 ★

4年間レイズ傘下などのルーキーリーグ(本土ではなくベネズエラやドミニカ)でプレーした後、イタリアに流れ着きパドーバで3チーム目。
ベネズエラとイタリアの二重国籍内野手。今年はイタリアで初めて3割を超える打率を残し、ダイナミックな遊撃守備でもチームを支えた。
昨年はヨーロッパ選手権でイタリア代表に初選出。9番サードとして黒子役に徹した。同郷、同タイプ、同ポジションのインファンテに衰えが見られるだけに今後もイタリア代表への定着が期待される。

 

○5位ネットゥーノ レギュラーシーズン:13勝15敗(5位)

イタリアでもっとも野球熱の高い街として知られる伝統的なチーム・ネットゥーノ。スポンサーなどの問題で人件費は少なくなる一方だが、それでもこのくらいのポジションを維持できるところはやはり伝統というほかない。

投手陣で柱となったのは他球団同様ベネズエラ人コンビ。
先発ではマイナー時代AA級までの経験を持つポール・エストラーダが4勝、防御率1.92を記録。リリーフではアメリカン・アソシエーション(米独立)や母国のWLでプレーしていたジョニー・モントーヤが14試合で防御率2.41と、共に助っ人にふさわしい数字を残している。

そのほかの投手は全てイタリア人投手で構成されてしまうところが、このチームの苦しさを物語っている。
ただ20歳のころから強豪ボローニャで登板機会を得てきたアレサンドロ・ウラレッティや昨年までレッズ傘下でプレーしていた20歳のダビド・アンセルミなど、今後の成長も見込める若手投手もいるので、彼らの成長次第ではチームもさらなる成績を望めるのではないか。

野手ではイタリア・ベネズエラ二重国籍であるホセ・フェリーニがショートの守備に3割を超えるアベレージと攻守に貢献。
昨年開化の兆しを見せたイタリア人センターのエンニオ・レトローシも122-41の.336という高打率を残した。

今年獲得したベネズエラ人カルロス・マルドナードはパイレーツやナショナルズMLB通算29試合の出場歴があるベテラン捕手。アベレージは.250という数字に終わるもリーグ最多の5本塁打を放ったことで面目を保った。

一方で3年前にボローニャの主力野手として.295を残した有望株のアンドレア・ダミーコ(22歳)は.203と今年も足踏み。
イタリアとアルゼンチンの二重国籍で両国の代表で4番を打った経験をもつマックス・ディビアセも41歳ということで往年の数字は残せなかった。
ダミーコや今年大阪で行われたU18ワールドカップ代表でセカンドを務めたアンドレア・セラローリら若い選手のレベルアップが待たれる。

効率的な助っ人への投資に、若手の育成。現在のネットゥーノにできることを精いっぱいやりながら来年は4位に食い込んでいくことが目標となってくるだろうか。


レナト・インペリアーリ ネットゥーノ 内野手 右右 27歳 

代表のユーティリティー枠。元はショートストップながら、現在はセカンドを中心にファースト、サードもこなすマルチプレイヤー
打つ方は繋ぎ役と言った程度で派手な数字は残す印象はなかったが、今年は一塁をメインにしながら.308を記録。今年の西武脇谷みたいな働きだった。中南米出身選手に押しのけられて守る機会は少ないが、2011年には正ショートストップとして守備率.983という数字をマーク。内野守備はバリオと並んでネイティブイタリア人では屈指。

・エンニオ・レトローシ ネットゥーノ 外野手 右右 27歳 

昨年.333をマークし開花を予感させた俊足好打の外野手。
今年もレギュラーとして.336というアベレージを残し、実力を証明。27歳ながら代表初選出となった。
元々は守備・走塁を評価されていた外野手であり、センターとして記録する刺殺数はリーグでここ数年傑出している。


○6位ネットゥーノ2 レギュラーシーズン:11勝17敗(6位)

ネットゥーノの2軍チームを母体として作られたのでこのようなネーミングになっているが、現在は別チームと言っていい。戦力的にも、「親球団」との差はあまり感じられない。それなりにオフには補強も行い、今年もまずまずと言っていい成績におさまった印象だ。

野手陣でまず今年挙げたい名前は、昨年U21ワールドカップ代表としてプレーしていた内野手のレオナルド・コラグロッシ。19歳ながら.312とコンタクトヒッターとしてのセンスを感じさせる数字を記録。
実績のある外国人捕手を1Bに回して正捕手を守ったマリオ・トリンチ(同じくU21代表)も、バッティングは1割台だったものの今後も期待が持てる選手と言えそう。
マイナー帰りのイタリア人内野手、マッティア・メルクリ(21歳)はセカンドのレギュラーとして定着するも.243に終わるなどまだまだポテンシャルを発揮できていない印象だ。

オフの補強で目玉だったのはパルマから移籍してきたベネズエラ人捕手のオスマン・マーバル。リーグを代表する強打の捕手としてパルマの看板選手の一人だった。.290、3本塁打OPS.799は決して悪くない数字だが、2シーズン前まではOPS10割を超える最強捕手だったことを考えると、今季からファーストをメインにしてこの数字は物足りない。まだ29歳と老け込む年齢ではないのだけど・・。

同じく今季サンマリノから移籍してきたマッティア・レジナトも物足りない数字に終わった。
2013年にはOPS.934を残した強打の捕手としてイタリア代表にも選出された若手選手だが、昨シーズン同様今季も.247、本塁打1本と低迷。
ここ数年はほとんど外野手になっていることも含めて考えるとやはりかつての期待には程遠いと言っていい。

ベネズエラ内野手の新助っ人ホセ・フローレスはショートを守りながら.284と及第点の活躍。AA級や母国のウインターリーグでプレーしていた実績通りの活躍を見せた一方で、ここ数シーズン守ってなかったと見られる(SSは5シーズンぶり、ここ数年は2B、3B、OFのユーティリティー)ショートの守備では9失策、守備率.936と苦戦していたようだ。

投手陣の柱はキューバから派遣されているノルベルト・ゴンザレス。WBCやオリンピックにも出場歴のある国際的にも有名な変則左腕だが、今年は防御率が4点台半ばと年齢的な衰えを感じてしまうパフォーマンス。
先発2番手のミルビオ・アンドレオッツィも現在まだ22歳とイタリア球界期待の若手投手だが、他球団の外国人投手と互角に張り合えるレベルにはまだ達していない印象だ。

ここ数年数字を落としている選手の復活と若手の成長。さらにはキューバからの派遣ルートも持っているチーム名だけにそちらの方面でのリクルート。チームを向上させる手段として思いつくのはこんなところだろうか。来期以降も選手の成長とともにチームとしてもさらなるステップアップを図りたい。

・マッティア・レジナト  ネットゥーノ2  捕手・外野手 右右 25歳  

2013年に強打の捕手として.315、6本塁打を記録した若手外野手。2012年から2シーズン好成績を残したが、昨年、今年と低迷。
それでも打のポテンシャルの高さと、外野手をメインとしながら控え捕手もこなせる利便性の高さもあって代表に選出される。
外野に回されたことからも捕手としての守備力はイマイチだとだと思われるが、外野の守備も怪しい模様。


○7位ゴド レギュラーシーズン:9勝19敗(7位)

2009年のリーグ創設時から名を連ねてきたチーム。いわゆる「お荷物球団」的な扱いをされてきた。ずっと下位に低迷しているが、成績の酷いチームはだいたいがリーグを脱退してセリエAに戻ることも多いだけに、粘り続けているだけでもある意味偉い。

そして、今シーズンついに光明が見えてきた。

このチームの課題、そして野球の弱いチームの根本的な原因である投手力の低さの改善である。
2年前にはチーム防御率が6.23。一番イニングを消化している投手が防御率6点台後半という目も当てられない焼け野原だったが、昨年のチーム防御率5.50を経て今シーズンはリーグ4位の3.14と劇的に改善された。
やはりそれを支えたのは他のチームと同じようにベネズエラ出身助っ人の2枚看板ということになる。
この3シーズンゴドの大黒柱として投げ続けてきたユルマン・リベイロは昨年に続いてリリーフとして活躍し13試合で防御率2.12という数字。

そして、今季パドーバから移籍してきたロナルド・ウビエド(2011年にはブルージェイズのAAA級で24試合に登板)はチーム最多の83イニングを消化し、防御率は3.01。上位チームの先発投手とまったく互角に投げられるクオリティを持っている投手が1枚いるだけでも大きく違ってくる。
ただ、それ以上に大きいのはイタリア人投手の安定だろう。セリエA時代からこのチームの主力投手として支えてきたマッテオ・ギャレオッティは34歳にしてキャリアハイのパフォーマンス。ウビエドに続く先発投手として4勝、防御率3.45。

ロアルディやバッサーニ、カッサーニらイタリア人中継ぎも揃って防御率3点台と、ウビエドのような助っ人の加入だけでなく、全体的な底上げがなされたことがチーム防御率の劇的な改善に繋がっているのではないだろうか。

一気に上位チームとそん色ない投手力を確保しながらも7位に終わってしまったのは、対照的に野手陣の責任が大きい。
チーム打率は.191。10年以上イタリアでプレーしているコロンビア出身のアドルフォ・ゴメスが.281、ゴドでのプレーは7年目になるドミニカ人捕手のダニーロ・サンチェスが4本塁打と、長年イタリアに籍を置いている中南米出身選手がある程度の数字を残したのみ。
その他の選手は名前の知られていない打率が2割に満たないようなイタリア人選手であり、「助っ人外国人」的な選手がいないので苦しくなるのも当然。
ショートストップも多くのチームがベネズエラ人選手を置いているものの、ゴドは27試合で14失策を犯した21歳のイタリア人ショート、ルカ・シルベストリを置かざるを得ない状況で、守備面でも投手陣の足を引っ張っていたと言っていい。

実績のある助っ人外国人の獲得はおろか、代表クラスではない有望なイタリア人選手の獲得などもおそらく財政的には厳しいと思われる。
とりあえず、改善された投手力を維持しながらなんとか野手でも1,2人攻守で軸になれるような選手を確保することが来年以降中位以上を狙っていくためには必要な条件になってくるのではないだろうか。


○8位パルマ レギュラーシーズン:6勝22敗(8位)

リミニ、ボローニャとならぶイタリア球界の名門。2010年IBL初年度のチャンピオンでもある。
ただ、ここ数年は財政的な問題で戦力が縮小。上位と中位の中間のようなポジションに収まりつつあった。

今シーズン、さらなる財政的な問題でチームの看板選手だった3選手、強打のベネズエラ人捕手オスマン・マーバル(現ネットゥーノ2)、イタリア代表のスラッガー、アレックス・サムブッチ(現ボローニャ)、侍ジャパン戦でセンターとして2試合出場したステファノ・デシモニ(現リミニ)に加え、この3シーズン薄い投手層のなかで1枚エースとしてチームを支えていたベネズエラ人投手のホセ・サンチェスも一気に放出。
果たして、ボロボロになったパルマはリーグ戦で最下位という史上最低なシーズンを送ってしまうことになった。

打率が2割を超えたのは2人のみ。
2011年にヤンキース傘下のドミニカンサマーリーグでの実績しかないベネズエラ出身ショートのフレディ・ノゲーラが.281。守備でもチームを支えた。もう一人は22歳のイタリア人外野手、セバスティアーノ・ポーマが.238という数字を残している。

特別、他に名前を挙げるような期待の若手選手やある程度実績のあるような選手が思いつかないあたりが戦力の厳しさを物語っている・・。


投手陣では、2012年までマリナーズのAA級でプレーしていたホセ・ヒメネスが実績通りのパフォーマンスを見せるも、さすがにこの貧打では勝ち星は付かない。23歳のイタリア代表投手である左サイドのヨメル・リベラや、リリーフではベネズエラ人投手のヨミエール・カマーチョなど、チームとして形になるような最低限の戦力は有していた印象だが、全体的に戦力として最下位を免れるのは厳しかったと言わざるをいない。

チーム運営もギリギリだと思われ、厳しい状況に置かれているがこの難しい局面をなんとか乗り切ってもらいたいところである。


・ヨメル・リベラ パルマ 投手 左左 23歳 ★

苦しむパルマを先発投手として支える若きイタリア代表左腕。ドミニカ出身の二重国籍
2年前から既にバリバリのパルマの主力左腕として活躍し、昨年の欧州選手権で初めてイタリア代表に選出された。
完全なサイドではないが、腕の位置は低く、インステップもしているためかなり横の角度がつく。
(おそらく)130キロほどの速球と横変化の大きいカーブを中心とした投球スタイルだが、今年は特に四球が多く防御率は4.63に終わってしまった。


・フレディ・ノゲーラ パルマ 遊撃手 右右 24歳 ★

低迷するパルマを攻守に支えたイタリア系ベネズエラ人のショートストップ
2011年にヤンキース傘下のドミニカンサマーリーグでプレーしていた経験を持つ。
軽快な守備と、コンタクトヒッターとしてショートを中心に内野全般を担うことが期待される。

 

○リーグタイトル(ファーストフェーズ)

首位打者:アレックス・ロメロ(リミニ/ベネズエラ) .388(113-38)
本塁打王:カルロス・マルドナード(ネットゥーノ/ベネズエラ)5本塁打
打点王:カルロス・マルドナード 27打点
盗塁王:ホセ・フェリーニ(ネットゥーノ/ベネズエラ) 13盗塁

最多勝:マーキス・フレミングボローニャ/アメリカ)9勝
最優秀防御率:マーキス・フレミング 1.81
最多奪三振:ポール・エストラーダ(ネットゥーノ/ベネズエラ) 103(84.1IP)
最多セーブ:ビクトル・モレノ(リミニ/ベネズエラ) 6セーブ


・ゴールドグラブ

投手:フレミングボローニャ/アメリカ)
捕手:ロドリゲス(ボローニャ/ベネズエラ
一塁:マッツァンティ(リミニ/イタリア)
二塁:バリオ(ボローニャ/イタリア)
三塁:ディファビオ(リミニ/イタリア)
遊撃:エピファーノ(パドーバ/ベネズエラ
左翼:ジレーリ(リミニ/イタリア)
中堅:デュラン(サンマリノ/ドミニカ)
右翼:ロメロ(リミニ/ベネズエラ


・シルバースラッガー

捕手:アルバレス(バドーバ/ベネズエラ
一塁:マッツァンティ(リミニ/イタリア)
二塁:バリオ(ボローニャ/イタリア)
三塁:スアレスボローニャ/ベネズエラ
遊撃:オルメド(リミニ/ベネズエラ
左翼:バスケスサンマリノ/ベネズエラ
中堅:デュラン(サンマリノ/ドミニカ)
右翼:ロメロ(ベネズエラ
指名:チャペジー(パドーバ/キューバ

 


○IBL組以外のプレミア12イタリア代表選手


・フェデリコ・セーリ  ロサンゼルス・ドジャース傘下1A 右右 外野手 20歳 

イタリアのネイティブマイナーリーガー。両翼を守る外野守備や走塁に特筆するようなものはなく、ミドルヒッターとして評価されている外野手。今年は1AでOPS.605という数字はバッティングが売りの外野手として寂しい数字だが、ルーキーリーグの数少ない打席で欧州に返品されていく大半の欧州出身マイナー選手と比べると1Aで200打席以上立っていること自体が貴重な経験である。イタリア人初のメジャーリーガーとなったアッレクス・リディもこんな感じだった時期もあるので、この大会を覚醒のきっかけにしてもらいたいところ。

・アルベルト・ミネオ シカゴ・カブス傘下1A 右左 捕手・一塁手 21歳 

セーリ同様、イタリアのネイティブ・マイナーリーガー。イタリアの年代別代表を経て、昨年の欧州選手権で代表初選出。初代表で正捕手としてチームを支えたが、ライバル・オランダに2敗し準優勝に終わった一因として自身の経験の少なさも感じているのではないだろうか。
ただイタリア代表はこれまで海外出身者の捕手が多く、捕手としてMLBにスカウトされたというだけでもイタリアとしては貴重な逸材である。
マイナーでは際立った数字は残せておらず、今年プレーした1Aでも打率が.200を超えるのが精いっぱい。意外性がある打撃という評価になるだろうか。守備面も阻止率25パーセントとまずまず。


アレッサンドロ・マエストリ オリックス 右右 投手 30歳  

イタリア育ちの選手では、史上最高の投手。イタリア代表としては既に10年近いキャリアを持つ。
かつてはカブスのマイナーでプレーしていたが、AA級にも定着できずリリース。
その後は米独立→オーストラリア→イタリア→香川→オリックスと渡りあるいてきた苦労人。香川に来たあたりから覚醒し現在に至る。
インステップするフォームから150キロ近い速球とスライダー、スプリットを繰り出す。13年WBCでもエースを担ったが、プレミアでもイタリアのように予選突破当落線上の国にとっては彼が先発してくるかどうかはロシアンルーレットなみの恐怖。

・トレイ・ニールセン カージナルス1A 右右 投手 24歳 ★

代表初参戦イタリア系アメリカ人。
今シーズンは1Aアドバンスドで9勝をマークした先発投手。
イタリア野球で好まれるハードシンカーを投げる投手らしく、ゾーンに集めて打ち取っていくタイプ。与四球も少ない。最速95マイル。


・ルイス・ルーゴ インディアンス1A 投手 左左 21歳 ★

同じく代表初選出のイタリア系ベネズエラ左腕。余談だが、イタリア系がベネズエラに多いこともイタリア球界でプレーするベネズエラ人の多さに関係があったりする。
今年は1Aアドバンスドで8勝をマーク。球威はそこそこだが、全体的にまとまりのあるピッチングでカーブ、チェンジアップを投じるとされる。マエストリ、ニールセンと共に先発陣を形成か。

・ジオニー・フラチオーラ レーゲンスブルグ(ドイツ) 左左 24歳 ★

自国選手以外でも多くのリーグにおいて欧州の選手は外国人枠の対象にならないのがヨーロッパ野球。
そのため、イタリア以外のリーグでも「イタリア人」としてプレーしているイタリア系選手が多く、彼もそれに当てはまる。
特にドイツには「イタリア人」が多い。イタリア系ベネズエラ人であるが、昨年までレンジャース傘下のドミニカンサマーリーグでプレーしていた左腕。今年はドイツの強豪クラブで先発投手として活躍した。サイドではないものの腕の位置がかなり下がった左腕であり、やはり左打者に強いタイプと言えそう。ウイニングショットは左打者の外に逃げるスライダーか。名前もそうだが、白人なので完全にルーツはイタリアである。

 

イタリアンベースボールリーグ2013 総括

 ヨーロッパではナンバーワンの野球リーグと言われているイタリアのプロリーグイタリアンベースボールリーグは今年で4年目のシーズン。

今シーズンはそこそこ熱心に結果をチェックしていた方なので、この際まとめて振り返ってみようと思い立ちました。

まずそもそもイタリアンベースボールリーグとはなんぞや?という話から始めてみようかと。

文字通り、イタリア野球では最高峰のリーグという位置づけになります。
今年で前述したように4年目を迎えるわけですが、それ以前はサッカーやバレーボール同様、セリエAがイタリアプロ野球の最高峰というポジションを担っていました。

イタリアンベースボールリーグは旧セリエAの中でも資金力のあるチームを集めて新たに立ち上げたリーグです。
イタリア野球が更なる発展を目指しての改革であって、試合数も増えプレーのクオリティーもより質の高いものにしていくことを目指しての変化でした。
そんな崇高な目標を持ってスタートしたIBLなんですが、正直言うとスムーズには発展は進んでません。

レギュラーシーズンは去年までの42試合から36試合に経済的な問題から縮小されました。チーム力としてもかなり上位グループと下位グループで差が激しい印象です。
チーム数も新規参入が3チームが追加されましたがさほどリーグレベルの向上にはつながってないような印象です。

プロ野球」を確か謳っていたと思いますが、野球だけで生活しているのは助っ人外国人や主力のイタリア人選手だけだと思われます。
それ以外のイタリア人選手は他の仕事と兼業というかたちですね。
全員が野球だけ食っていけるような形態にはなっていないので、プロ野球と言い切るのはしんどいと思います。

ただIBLに移行してからは、上位チームの助っ人外国人はそこそこバリバリだったメジャーリーガーがやってくるのがスタンダードで、せめてAAAくらいの経験はないと物足りないレベルです。最低メキシカンリーグあたりですかね。それぐらいの質の外国人がやってくるということは、助っ人に支払われるサラリーはそこそこ魅力的なんじゃないかと思われます。そこは、IBLになって一番変化した点ですね。


さて、レベルはどうなの?という話になりますがヨーロッパの中では
という意味では間違いなく最高峰です。
欧州野球では近年オランダが国際大会での活躍が華々しいですが、クラブシーンではIBLが誕生して以降、イタリア勢がヨーロピアンカップ(野球版CL)でもオランダ勢を圧倒しています。今年の決勝もイタリア勢どうしの対決で、同国勢がこのタイトルを5年連続で獲得しています。やはり、助っ人外国人のクオリティではオランダを圧倒しているのが大きいですね。


世界的に見て、レベルはどうなの?という話をするならばかなり表現するのは難しい。
例えばよくMiLBでいうとどこらへんなの?という議論がなされますがマイナーリーグのようにレベルが均質化していません。
前述したようにリーグ内での格差は半端ないし、当然助っ人外国人、イタリア国籍を持っている外国人、純粋なイタリア人選手と、選手単位でもレベルにはバラつきがあります。

上位の5チーム、サンマリノ、リミニ、ボローニャ、ネットゥーノ、パルマ
この5チームはレベル的にプロと言っても問題ない水準に達していると思われます。日本のファームのチームやCPBL台湾プロ野球)のチームとも一発勝負なら互角に戦えるかと。milbであえていうなら1AとRkの間くらいですかねえ。2010年に台湾で行われたインターコンチネンタルカップではイタリアはイタリアリーグの選手で戦ったわけですが、地元台湾やNPBの若手選手で戦った日本には勝ってるわけですから。

ただ上位5チーム以外。
今年勝率5割を達成したレッジョは予想外の大健闘でしたが、それ以外のチームですね。
特にゴド、ノバーラ、グロッセートの3チームはかなりレベル的に厳しい。高校レベルのチームにマイナーでのキャリアが見つからない、或いはあってもRkや1Aくらいの助っ人が加わっている程度という印象です。あ、ちなみに最下位のグロッセートは3勝33敗の勝率.083です。
グロッセートとゴドはチーム防御率6点台。イタリア人で一番イニング消化してるピッチャーが防御率7点台とかなかなかに酷い。SSの守備率も9割切ってたりします。ここら辺が全体のレベルを下げているという印象ですね。上位陣と下位陣が戦う時は今年のセリーグで言うヤクルト対巨人みたいなものではなくて、サッカーのセリエAプロビンチャ(地方クラブ)がミランユベントスみたいなビッグクラブと戦うようなイメージです。いやもっと格差があるかもしれない。

 

 

 

 

さて、導入はここくらいまでにしておいて、ここからはチーム別にまずは今年のIBLを振り返ってみたいと思います。


サンマリノ  IBL 25勝11敗 イタリアシリーズ優勝

相変わらずの選手層の厚さで下馬評通りイタリアリーグ3連覇を達成でスクデット獲得。ただ、そこに至るまでの道のりが結構キツかった。
まずレギュラーシーズン上位4チームが進めるプレーオフですが、結局プレーオフを5位で逃したパルマと1勝差というスレスレっぷりでした。見てるこっちは面白かったんですけどね。最終節は下位チームではなくリミニとの二連戦でしたがそこを2連勝で切り抜けたのは流石でした。プレーオフでは欧州王者ボローニャを退け、そして昨晩まで行われていたリミニとのイタリアシリーズ(5回戦制)では二連敗とあとがない状況から三連勝で逆転優勝。ギリギリの戦いのなかで制した今シーズンでしたが、土壇場で踏みとどまれる底力はやはり王者に相応しい戦いだったように思います。

選手に関しては、このチームのアイコンとも言える長打力は健在。
リーグ1位の31本塁打(2位は18本)を記録。
サンマリノの顔と言える存在になりつつあるベネズエラ出身のデュラン・カルロス(5本塁打)、BCリーグから復帰したウィリアム・バスケス(7本塁打でホームラン王)、イタリア代表の4番を長年務めるハイロ・ラモス(5本)とパワーヒッターが名前を連ねる様相はイタリアのニューヨークヤンキース
下位打線にイタリア代表のジョー・マズッカや今年捕手から外野手にコンバートされた同じくイタリア代表のマッティア・レジナトが並ぶ豪華さ。ほかにもWBCでスタメン出場したロレンツォ・アバニーナとかいますからね今年は調子よくなかったですけど。
厚みのある打線でねじ伏せられるのが強みです。

ピッチャーに関してはWBCでも活躍したイタリア代表のエースチアゴ・ダシルバに加えて、台湾の兄弟から加入したジム・マグレーンが事前の評判通りの活躍を見せてくれたのが大きい。
今年は基本的に週2試合だったので、この2枚看板がいれば十分。
リリーフには絶対的守護神のダーウィン・クビアン(元阪神)が控えていますから。
ギリギリの戦いでしたが、戦力的にはやはり他を圧倒してます。

心残りがあるとすれば、ヨーロッパ王者のタイトルとの二冠が達成できなかったことでしょうか。3連覇を達成したこのチームの次の目標はそこになってくるかと。それくらいしてもらってもおかしくない。
戦力的な部分を敢えて指摘するならば、イタリア人投手の育成あたりを頑張っていただきたいですね。


○リミニ  IBL 27勝9敗 ヨーロピアンカップ準優勝

成績的には決して悪くなかったのですが、タイトルにはあと1歩届かなかった悔しいシーズンになりました。
ヨーロピアンカップの決勝でボローニャに敗れ、リーグタイトルもイタリアシリーズまで駒を進めるも2勝0敗から3連敗を許した今シーズン。
文字通りあと1歩足りなかったとしか言いようがないです。

野手陣に関しては、WBC代表だったジャック・サントラが.384と謎の大爆発。積極補強で獲得したイタリア代表経験のある2人、レオナルド・ジレーリ、リカルド・ベルタニョンが期待を裏切らない活躍を見せ、コロンビア出身の大ベテランアドルフォ・ゴメスもしぶとい働き。
ただ一番の貢献度が高かったのは補強で1番の目玉だったアレックス・ロメロ。メジャー通算144試合出場の実績通りの活躍で.444(首位打者)、5本塁打、41打点(リーグ2位)と貫禄を見せつけましたね。

ピッチャーに関してはベテランのイタリア人右腕・ロベルト・コラッディーニが11勝で防御率1点台とキャリア最高の働き。
キューバ出身でドイツ代表のエースマルケス・ラミレスも衰える様子はなく。今年獲得したメジャー経験を持つヨルマン・バサルドもまずまずの働きを見せるなど戦力的にはサンマリノに劣らず充実していたように思えます。米国出身の助っ人バルドウィンがぱっとしなかったくらいですかね。コラッディーニもラミレスもベテランなので来年は外国人枠のもう1枠をちゃんとしないとまずいような気はしますが。
戦力はタイトルに値するものだっただけに、今年の悔しい経験を活かすチャンスは来年以降もあるかと。まずはこの戦力を維持をしたまま来年を迎えてその機会をうかがっていきたいところでしょうか。


ボローニャ IBL 28勝8敗 レギュラーシーズン1位、ヨーロピアンカップ優勝

昨年に続いてヨーロッパ王者のタイトルを獲得するも、IBL誕生してから一度もリーグタイトルを獲得していない状況は今年も変えられなかった。レギュラーシーズンでは混戦を制して1位の座を獲得するもプレーオフではサンマリノに敗北しイタリアシリーズにも出られず。昔のホークスみたいことに。

今シーズンのピッチャー陣は昨年の大黒柱だったイタリア代表のルカ・パネラッティが富山に移籍(その後故障で退団)、このチームのエースを長年になってきたヘスス・マトスが退団、代わりに獲得した元WBCベネズエラ代表のビクトル・モレノも途中退団するという状況になりましたが、昨年メキシカンリーグでプレーしていたベネズエラ出身のラウール・リベロ、今年先発に転向したマッテオ・ダンジェロが奮闘を見せ大きく崩れることはなかった。

打線は昨年ブレイクしたイタリア代表期待の若手セカンド、アレッサンドロ・バリオが昨年以上の爆発を見せ.410(リーグ3位)。
同代表のSSカルロス・インファンテも高打率を記録しました。なお退団したGG佐藤に代わって獲得したクリス・アギーラ(元ソフトバンク)はGG以上とも言える働きを見せていたのですが、シーズン途中によく分からない理由(フィールド外の問題だった模様)で解雇。代わりに獲得したドミニカ出身の外野手ラウール・レイエスも悪くなったのですが・・

待望のリーグタイトルを獲得するには、ピッチャーでもう一人実績のある外国人が必要なのかなあって印象です。あとは全休したパネラッティの復活とか。打線もリミニやサンマリノには及ばないという印象なので、もう一人強打者が欲しいと言ってしまえば欲張りすぎでしょうかねえ・・。


○ネットゥーノ IBL 25勝11敗

スポンサーの撤退などもあって、エースのリカルド・ヘルナンデス(ベネズエラ出身、スペイン代表)らを放出。厳しい戦いが予想されましたが、流石野球熱の高いネットゥーノ、自前のイタリア人の若手がそこをカバーする活躍でプレーオフ進出。イタリアシリーズ進出はならなかったものの満足のいくシーズンだったんじゃないでしょうか。
ピッチャーでは20歳のイタリア人右腕ミルビオ・アンドレオッツィがリリーフエースとして一本立ち。イタリア代表でも活躍したリカルド・デサンティスも7勝を記録し、キューバリーグで活躍した実績を持つアントニオ・ロメロも助っ人としての期待に応えた。元マイナーリーガーアンドレア・ピッツィコーニも昨年よりは復活したと呼べる成績で、全員でヘルナンデスの穴を埋めたような形に。

打線はキューバ出身のフォンディン・オネリオ、AAAやメキシコでプレーしていた米国出身のベン・ハリソンが実績通りの働き。
捕手から外野に回ったビンチオ・スパランガが打数は少ないながらも高打率を記録しました。一塁には20歳のアレッサンドロ・グリマウドが終盤まで三割を記録し定着、マイナー帰りのルカ・マルトーネもこのリーグでは少ないイタリア人SSとしてレギュラーに定着し、打率も3割を記録したのも大きなトピックかと。これまで以上にイタリア人選手の奮闘に支えられるシーズンとなったと言えると思います。

お金的に、たぶんリーグタイトルを取るのは近い将来では厳しい。
ただイタリア人選手を軸とした戦いと、この町の野球熱は来シーズンもIBLの中で存在感を見せてくれるんじゃないかなあと。
イタリア野球の発展を支えるチームとして来年以降も応援していきたいなと思います。


パルマ IBL 24勝12敗

初代IBL王者も、わずか1勝差で今年もプレーオフ行きを逃すという悔しい結果に。今思えば序盤戦でゴドに金星を許したのが痛かったなああと。あと最終戦でレッジョに負けてしまった・・。今シーズンはジレーリとベルタニョンをリミニに放出。WBC代表で活躍したグリファンティーニもブルージェイズマイナー契約を結びましたね。ここもプレーオフを逃した要因として痛かったかなあと。

それでも、個人として活躍を見せた選手はそれなりにいました。
去年の首位打者オスマン・マーバルは今シーズンも.404と高打率を記録。WBCイタリア代表の若手外野手ステファノ・デシモニもハイアベレージを残し、期待のイタリア人スラッガーレックス・サムブッチも初めてシーズンを通じての活躍を見せてくれたのは嬉しい。

ピッチャーに関してはベネズエラ出身右腕のホセ・サンチェスが12勝2敗、118イニングで143奪三振最多勝最多奪三振のタイトルを獲得し孤軍奮闘。20歳のイタリア人右腕ヨメル・リベラも先発二番手として覚醒を見せたものの、やはりパルマももう1人実績のある助っ人がいないとプレーオフラインで来年も苦しむことになるんじゃないのかなあという印象。打線もちょっと迫力にかけますしね・・。上位陣の中では資金力的に充実してる方ではないのでしょうが、ここをどうにかしないと・・


○レッジョ・エミリア  IBL 18勝18敗

ここからは一応下位のグループになります。レッジョはしかも昨年まではセリエAのチームでして今シーズンから新規参入。
正直ゴドやノバーラのような上位組からするとただのスケープゴートが増えただけみたいに認識してましたが、期待をいい意味で完全に上回ってくれる健闘。最終戦でパルマから勝利し勝率五割を達成。
底辺のゴドやノバーラ、同じく新規のロンキから稼いだ部分もありますが、開幕戦でサンマリノに勝つなど上位陣とも引けを取らない戦いを展開。スケープゴートでは決してなかったと訂正したいと思います。

下位グループの中では外国人助っ人の質が良かったのが大きい。
特にピッチャー。新しく獲得したエンリケ・アコスタとエスパーニャ・バスタルドベネズエラ出身コンビが先発二枚で成績を残し、同じく新戦力の若手イタリア人投手フィリッポ・クレパルディの好投も嬉しい誤算だった。チーム防御率は3点台。レッジョより下の4チームは5点台以上だということ考えるといかにピッチャーがこの躍進を支えたかを実感しますね。

セリエにだっていいチームがあるじゃん!って思わさせてくれる活躍を見せたレッジョ。来年は上位組にもっと食らいついてくれる快進撃に期待したい

 

○ロンキ  IBL 12勝24敗

同じく新規参入チームで去年はセリエA。ゴドやノバーラほどお荷物ではなかったのはよかったものの、上位組からすればまず星は計算できるような相手だった感じですかね。
特に打線が.213と苦しんだ。去年のセリエAでも打ってないみたいですしね。マシュー・リッチンガーという投手登録のアメリカ人がそこそこ野手でも戦力になってる時点で終わってる。
ホナルド・コジャーノというドミニカ人助っ人も3本塁打は放っているものマイナー時代のキャリアすら見つからないような外人だったりする。

ピッチャーは二本柱、前述のリッチンガーとドミニカ出身のベテランヘスス・ジェペスはまずまずの働きを見せたものの、それ以外のピッチャーがいなかった・・。いや、人はいるんだけどいないに等しかった。

○ゴド IBL 9勝27敗

お馴染みIBLのお荷物球団。序盤ではパルマを破るなど今年は違うかも・・と最初は期待したのですが・・
どの成績もなかなか酷いですがリーグ最下位だったチーム防御率6.23が特に目立つ。ベネズエラ出身のユルマン・リベイロ以外は惨劇に近い。チームで一番イニング消化してる人が防御率6.93。
5試合に先発し0勝5敗で防御率9.33のイタリア人投手がいるなどネタの宝庫。
打線はダニーロ・サンチェスが.333、5本塁打と一人気を吐くも、米独立リーグから獲得したメジャー経験もあるリウ・ロドリゲスが.243と低迷。いやまあまだそれはいいとして一番期待されていた分野と思われるショートの守備も12失策で守備率.855というありさま。

この酷さはお金がないからと言えばそれまでですが、この状況を脱出したいなら、自前でイタリア人選手を育てる、もっと効率的に助っ人外国人に投資する、いったあたりが精いっぱいの改善点でしょうか。

ノバーラ 9勝27敗

IBLお馴染みのお荷物球団②
勝率1割を切った去年よりはいくぶんまともに。
ボローニャサンマリノから金星をうばったりなど地味にリーグ戦に影響を与えていた模様。
打線は今季加入したキューバ出身のロレクシス・モリーナやベテランのコンラド・シルバが3割を記録。

ピッチャーもベネズエラ人助っ人のカレーラ・ガメスの加入やドミニカ出身で元イタリア代表のフランクリン・トーレスの奮起が大きかったですね。ただ、他のボトムズ同様外国人以外の選手。つまりはイタリア人選手の成績がやはり悲惨なことに。そこが改善されない限りは・・。


○グロッセート IBL 3勝33敗

昨年までもグロッセートというチームはあったものの、母体の違う新規球団。ただ弱さは去年の旧グロッセートと大して変わらない。
というかむしろ酷くなりましたね。勝率が市外局番みたいなことになってます。
チームで打率.189でホームラン1本って何か1シーズンを盛大に犠牲にしたギャグですかね。
野手は何人か中南米出身選手がいますが、全員マイナーの成績も見つからない。成績ももちろんお察しである。イタリア人野手も当然ろくなのがいない。ピッチャーはコロナド・マルケスというやはりベネズエラ人助っ人だけがまともで、他は54イニングちょうど投げてる二人のイタリア人がそれぞれ防御率が7点台と8点台。ちょっとした公開処刑みたいな使われ方を毎週されていたと思うと切ない。7点台のアレッサンドロ・ウラレッティは24歳の期待の若手。昨年はセリエAで活躍してるだけに成長に期待したいところ。

ちなみに、3勝は全て4月までに挙げた勝利。当然僕もちょっと期待しましたよええ。そこから8月まで出口のないトンネルを走り続けていたようです。大分トリニータのサポーターの気持ちがいまはちょっと分かる気がします。

 


○こっからは個人成績やIBL、イタリア球界の将来などについて


今年はわりと打高だなーと春先はと思ってたのですが、途中で気付きました。なんかこれ違うと。
単純にチーム数が増えてより下位相手に稼ぎやすくなっただけじゃないかと。
結局、これまで4割打者なんていないリーグだったのに今年は4人も誕生してしまいました。その他にもいつもは3割打つかどうかの選手もコロっと三割中盤くらい打ったりしてこの変化をどうとらえていいか困ってます。ピッチャーの防御率なんかも下位のボーナスステージとそれ以外とでは結果が違ってくるので、成績の読み取り方もこれまで以上に難しくなってしまいました・・。

野手でブレイクしたと言えるイタリア人選手は昨年のバジオ(ボローニャ)やレジナト(サンマリノ)みたいなのは特にいませんね。ただ、そのバジオとレジナトが去年に続いて、いやそれ以上に活躍を見せてくれたのは大きい。今後もイタリア球界を担っていく選手になっていくんじゃないでしょうかねえ。
ああブレイクとはちょっと違いますが、マイナー帰りのルカ・マルトーネ
がネットゥーノのSSで定着したのが嬉しかったですね。
日本人のメジャーリーグに挑戦する選手と同じで、IBLでは基本イタリア人選手は中南米出身の選手の壁に跳ね返されてなかなか定着できないんですよ。まあマルトーネは守備率.909とかでしたが笑
まだ21才なんで成長待ちですね。


ピッチャーは今年はイタリア人選手が頑張った方かなと。
ベテランでイタリア代表でもお馴染みのコラッディーニ(リミニ)やデサンティス(ネットゥーノ)、マテオ・ダンジェロ(ボローニャ)など。
若手ではアンドレオッツィ(ネットゥーノ)やクレパルディ(レッジョ)の活躍が所属チームの成績を支えていたように感じられました。

さて、若干IBLの話からは脱線いたしますが、ここで18Uのイタリア代表の話をしてみたいかと。

結果は最後から二番目でしたが、アメリカから勝っているオーストラリアから金星。最後の順位決定戦ではライバルのチェコにもきっちり勝てましたし、コロンビア戦も勝利が期待できるような展開でした。
前回ほどメンバーが揃っている世代ではなかったのですが結構頑張ってくれた方だと思います。
で、大会を通じてイタリアに受けた印象なのですが、とにかく層が薄いといったところに尽きます。
特に使えるピッチャーと使えないピッチャーがはっきりしていて、使えないピッチャーはまるで期待が持てませんでした。
120キロ前後レベルのピッチャーです。エースのアンセルミ(レッズ傘下)は146㌔とか出したらしいですが。
選手の層的に、一応はイタリア代表なのに高校の1チームレベル。
ここがイタリア野球の当面の課題のような気がします。

レックス・リディ(前オリオールズ)やアレッサンドロ・マエストリオリックス)のようなトップレベルでは世界でも通用するような選手を輩出できるようになったイタリア球界ですが、彼らに続くことが期待できる選手も現状ではいません。

この層の薄さはIBLに繋がっている話でして、上位チームと下位チームの差が挙げしいのもそこに起因するものだというのは明らかですね。
IBLの参加チームが増えることは必ずしも悪いことだとは否定しません。ただ、今のイタリア野球の選手層を考えると全体のレベルを下げているというデメリットの方が強いです。


イタリアのユース世代の優秀な選手はほとんどが一旦メジャーリーグと契約するケースがほとんどです。
とはいえ、多くの選手がマイナーで数年プレーした後に返ってきますしその国の野球のレベルを支えるのもやはり基本は国内リーグでしょう。イタリアのトップレベルの選手の実力を支える意味でも6チームくらいにコンパクト化した方がいいいんじゃないかなあというのが僕の意見です。下にはちゃんとセリエAもありますし。正直底3チームよりセリエの上位チームの方が強いような・・

試合数が少ないことは散々言われていますが、そこは経済的な問題だからどうしようもない。全員をフルタイムのプロ野球選手にするのにも、試合を開催するのにもお金がかかります。
100試合のリーグなんて出来れば欧州球界全体にとっても非常に大きいですが、ないものねだりしても仕方ないですよね。


最後はちょっとネガティブは話にはなりましたが、ヨーロピアンカップは今年もイタリア勢が優勝しましたし、春先のWBCもイタリアはベスト8に入りました。楽しみな若手もまた出てきましたし、決してイタリア野球にとって悪いシーズンじゃなかったと思います。


結構な長文になりましたが、一人で追って一人で勝手に語るのは結構疲れます(笑)
自分がこんなまとめを作らなくていいくらい、他にイタリアンベースボールリーグに気にかけて熱狂してくれる人がもっと出てくればと期待して、この文を締めくくりたいと思います